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AI音声が理解る!Irodori-TTS超入門 音声参照からNSFW生成まで

Published 06/03/2026, 03:36:25 PM · Edited 06/05/2026, 04:18:49 PM

AI音声が理解る!Irodori-TTS超入門 音声参照からNSFW生成まで








<記事内容の要約>

・ローカル環境で自然な日本語音声を生成できる「Irodori-TTS」の超入門記事。参照音声や絵文字、演技指示を組み合わせてイメージ通りの声を生成可能

・導入方法や起動、batファイル化、参照音声の作り方、パラメータの意味、ノイズ除去まで、つまずきやすいポイントを確認

・AI音声は実在人物の声に似るリスクが大きい。権利関係や公開時の注意点・より安全な参照音声づくり・R-18ボイス生成時の実践上のコツまでを総まとめ

【★2026/06/05修正】環境によっては「uv run」で起動すると実行前にuvが仮想環境を自動同期し直してしまうことがあるとコメントで教えて頂きました。起動コマンドやbatファイルの記述を修正しています。



こんばんは、スタジオ真榊です。この記事は、音声生成AI「Irodori-TTS」の導入から使い方までを解説したAI音声の超入門記事です。Irodori-TTSの導入、基本操作、参照音声の使い方、VoiceDesign版の使い方、サー…というノイズの除去、権利面の注意点までを詳しくまとめました。


Irodori-TTSは超高性能なグラボがなくても、ユーザーが指定したテキストをもとに自然なトーンの日本語音声を生成することができます。例えばこんな感じ。

ローカル生成ですので、もちろん喘ぎ声やちゅぱ音といったR-18音声の生成も行うことができます。


生成時間はRTX4080(VRAM16GB)で数秒程度と非常に高速。Codexを使ったゲーム制作と組み合わせることで、ゲーム中に登場するすべてのセリフを統一感のあるトーンで生成、全セリフに自動一括配置することもできました。


ただし、AI音声はAIイラスト以上に実在人物との繋がりが強いため、「声があの有名人に似ている」とみなされてトラブルを招く恐れがつきまといます。AI音声はディープフェイク作成にもからむリスキーな技術でもありますので、今回の特集では注意事項や規約、トラブル回避のポイントについても重点的に取り上げています。


【注意】記事中にR-18画像は掲載されていませんが、「Hなセリフを読ませてみよう」の項にR-18音声が含まれています。再生時は周囲や出力デバイスをご確認ください。

目次

Irodori-TTSとは

  <通常版とVoiceDesign版の違い>

インストール方法

  <uvを入手>

  <Irodori-TTSをダウンロード>

  <必要なライブラリをインストール>

Irodori-TTSの起動法

  <"ポートが使用中"の場合は?>

  <ダブルクリックで起動したい!>

Irodori-TTS通常版の使い方

  <音声を生成するには>

  <音声を参照するには>

  <実践>

  <絵文字で感情コントロール>

VoiceDesign版の使い方

  <キャプション・スタイルの指示方法>

  <SEも同時生成できる?>

一貫性を持った人物の音声を作るには

  <キャラのサンプルボイスは感情ごとに用意しよう>

各パラメータの意味

  <Advanced (Optional)=上級者向けタブ>

  <パラメータまとめ>

ノイズの除去方法

  ・Audacityでやる方法

  ・Codexを使った一括ノイズ除去

AI音声の権利関係と注意点

  <ツダケンさん訴訟が進行中>

  <Irodori-TTSの権利関係>

安全対策を検討

  <Audacityでピッチ変更→参照し直し>

  <実践>

  <固有名詞のイントネーションは鬼門>

Hなセリフを読ませてみよう

  ・Hな囁き

  ・喘ぎ声

  ・ちゅぱ音(フェラチオ音声)

  ・性的ASMR

終わりに


Irodori-TTSとは

Irodori-TTSはAIエンジニアのAratako氏がWindows10/11向けに開発した、日本語特化のローカル向け音声生成AIモデル。TTSは「text-to-speech」の略で、テキストを音声に変換できるモデルという意味です。


参照音声を読み込ませて声色や話し方を似せられることと、絵文字を使って感情表現をコントロールするユニークな機能があるのが大きな特徴。非常に軽量なモデルなので、GPUがない場合もCPUで動かすことができます。(※ただし、かなり時間がかかるようです)


<通常版とVoiceDesign版の違い>

Irodori-TTSには、「通常版」と「VoiceDesign版」があります。通常版では、何も読み込ませずランダムな声色で生成するか、既存の音声ファイルを読み込ませて声色や話し方を似せるかを選べます。一方、VoiceDesign版はその名の通り、「落ち着いた女性の声ではきはきと」とか、「明るい少年の声でゆっくり悲しそうに」といったように、ユーザーが文章で指定して声色をデザインすることができます。


VoiceDesign版では当初、声色の指定ができるだけで音声参照ができなかったのですが、2026年5月31日に最新モデル「V3」が公開され、既存音声を参照しながらしゃべり方もユーザーが指定できるようになりました。これにより「VoiceDesign版で声を作って通常版で参照」という手順を踏む必要がなくなり、VoiceDesign版単体で声色のデザインから声色の再現まで完結できるようになっています。


AI音声の声色や話し方が実在人物を想起させるような声色だった場合、偶然だったとしても訴訟リスクが付きまといます。安易にネット上から他人の声をDLして読み込ませるのではなく、VoiceDesign版をうまく使ってできるだけオリジナルな声を作っていく作業が身を守ってくれることと思います。

インストール方法

Codexを既に導入した環境なら、自分で始めるより適当な場所に「Irodori-TTS」フォルダを作って、そのフォルダでCodexを開き「Irodori-TTSを導入して。リポジトリはこれ。https://github.com/Aratako/Irodori-TTS」と頼むのが一番手っ取り早いです。起動方法もやや難しいので、そのあたりの交通整理もCodexがやってくれます。


Codexの始め方は以下の記事を参照のこと。


手動でやる場合は、以下の手順で進めてください。


<uvを入手>

Irodori-TTSは「uv」という管理ツールを使って導入します。まず、Windowsのスタートメニューを開き、「PowerShell」と入力して起動します。PowerShellの黒い画面が開いたら、次の太字で書いたコマンドをコピーして貼り付け、Enterキーを押します。これは「uvのインストーラーをダウンロードして実行してね」という内容のコマンドです。


powershell -ExecutionPolicy ByPass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"


このようになっていればOK。(PowerShellのバージョンによって見た目は異なります)

インストールが終わったら、PowerShellをいったん閉じて、もう一度開き直してください。


次に、「uv --version」というコマンドを入力して、uvが正しく入ったか確認します。「uv 0.xx.x」のようにバージョン番号が表示されればうまくいっています。

うまくいかない場合はPCを再起動してみて、それでもつまづく場合はChatGPTなどに質問してサポートしてもらいましょう。


<Irodori-TTSをダウンロード>

次に、Irodori-TTS本体を入手します。Git(プログラムの変更履歴を記録・追跡できるバージョン管理システム)を導入済みなら、PowerShellで次のコマンドを1行ごとに実行すればOK。


git clone https://github.com/Aratako/Irodori-TTS.git

cd Irodori-TTS


Git未導入の人、よく分からない人は、GitHubのIrodori-TTSページを開き、緑色の「Code」ボタンから「Download ZIP」を選んでください。ZIPをダウンロードしたら、好きな場所に右クリックして展開します。


ダウンロードできたら、Irodori-TTSのフォルダを開きます。「Irodori-TTS-main」フォルダを開いて、以下のようなファイルが出てきた場所でターミナルを開きます。


Windows11なら、このフォルダ内の何もない場所を右クリックして「ターミナルで開く」を選べばOK。Windows10の場合は、エクスプローラー(フォルダを開いている画面)の上にあるアドレスバーにpowershellと入力してEnterを押すと、そのフォルダを開いた状態でPowerShellが起動します。


<必要なライブラリをインストール>

下図のように、「~~~Irodori-TTS-main>」と出ていればここまではうまくいっています。次は、Irodori-TTSを動かすために不足しているライブラリをインストールします。


①NVIDIAのグラボ(GeForceやRTXシリーズ)を使っている人

こちらを「~~~Irodori-TTS-main>」のあとに貼り付けて実行してください。

uv sync --extra cu128


②グラボがない人、RadeonのGPUを使っている人、よく分からない人

こちらを「~~~Irodori-TTS-main>」のあとに貼り付けて実行してください。

uv sync --extra cpu


ここで実行するのはどちらか一方だけでOKです。NVIDIAのGPUがあるのにCPU版で入れてしまうと、生成がかなり遅くなります。逆に、NVIDIAのGPUがない環境でcu128版を入れようとすると、うまく動かないことがあります。


エンターキーを押すとインストールが始まりますが、ファイルが大きいのでDLにかなり時間がかかります。途中で止まったように見えても、しばらく触らずに放っておいてください。再び「~~~Irodori-TTS-main>」と出て静止したら、インストールは完了です。次の「Irodori-TTSの起動法」に進んでください。


Irodori-TTSの起動法

Irodori-TTSは起動の仕方が独特で、手動で導入した場合、exeやbatファイルをダブルクリックするようにはいきません。以下の起動コマンドを、Irodori-TTS-mainフォルダで開いたPowerShellに貼り付けて実行する必要があります。


【★2026/06/05修正】環境によっては、通常の「uv run」だけで起動すると実行前にuvが仮想環境を自動同期し直してしまうことがあるとコメントで教えて頂きました。そのため、インストール済みのGPU版環境をそのまま使うよう「--no-sync」を追加して、起動コマンドを修正しています。


①通常版を起動する場合:

uv run --no-sync python gradio_app.py --server-name 127.0.0.1 --server-port 7860

②VoiceDesign版を起動する場合:

uv run --no-sync python gradio_app_voicedesign.py --server-name 127.0.0.1 --server-port 7861


起動に成功すると、PowerShellの画面に「http://127.0.0.1:7860」などとURLが表示されます。これをCtrlキーを押しながらクリックすると、Irodori-TTSをブラウザで起動できます。黒いPowerShell画面を閉じるとIrodori-TTSも止まってしまうので、作業が終わるまで開きっぱなしにしておいてください。


<"ポートが使用中"の場合は?>

起動時に「ポートが使用中」などと表示されてしまった場合は、すでに別のツール(reForgeなど)が7860番のポートを使っている可能性があります。その場合は、起動コマンドの最後の数字を以下のように変えれば起動できるはずです。

uv run --no-sync python gradio_app.py --server-name 127.0.0.1 --server-port 7862

      ▲ポートが使用中だとこのようなエラー表示が出ます



<ダブルクリックで起動したい!>

Powershellとか起動コマンドとか言われると、「そういうのよく分かんないからダブルクリックで起動して!」となりますね。というわけで、手動で導入した人向けに、ダブルクリックでIrodori-TTSを起動できるbatファイルの作り方も書いておきます。(先ほども書きましたが、インストールも起動用ファイル作成もCodexに頼んだ方がラクだし早いです)


まず、Irodori-TTS-mainフォルダ内の何もないところを右クリックし、「新規作成▶テキストドキュメント」をクリックして、ファイル名を「start_irodori_webui.bat」などと変更します。できたファイルを右クリックして「編集」を選ぶと空っぽのテキストファイルが開くので、次を貼り付けて保存。


【★2026/06/05修正】こちらもCPU版になってしまうのを防ぐため、起動コマンドを修正しています。(--no-syncを追加)


@echo off

cd /d "%~dp0"

start "" powershell -NoProfile -WindowStyle Hidden -Command "Start-Sleep -Seconds 8; Start-Process 'http://127.0.0.1:7860'"

uv run --no-sync python gradio_app.py --server-name 127.0.0.1 --server-port 7860

pause


batファイルがIrodori-TTS-mainフォルダ内にちゃんと格納されていることを確認してください。正しい位置にあれば、次回からこの「start_irodori_webui.bat」をダブルクリックすれば通常版のIrodori-TTSが起動します。


VoiceDesign版の起動ファイルもほぼ同じ手順。「start_irodori_voicedesign_webui.bat」を作り、中身は次にして保存します。


@echo off

cd /d "%~dp0"

start "" powershell -NoProfile -WindowStyle Hidden -Command "Start-Sleep -Seconds 8; Start-Process 'http://127.0.0.1:7861'"

uv run --no-sync python gradio_app_voicedesign.py --server-name 127.0.0.1 --server-port 7861

pause


これで、次回からは「start_irodori_voicedesign_webui.bat」をダブルクリックすればVoiceDesign版が起動します。


Irodori-TTS通常版の使い方

さっそく通常版を使ってみましょう。start_irodori_webui.batを起動すると、インストールがうまくいっていればこのような画面が表示されます。これがIrodori-TTS通常版のメイン画面。一見取り扱いが難しそうに見えますが、ほとんどデフォルトのままで動かせますし、とても簡単です。


<音声を生成するには>

各設定の説明の前に、まずは一回音声を生成してみましょう。「Text」欄に読ませたい文章を日本語で書き、画面下部の「Generate」を押せば生成が開始されます。初回生成時は2GBほどのモデルのDLを伴うため、かなり時間がかかります。起動に使った黒い画面を見るとちゃんと動いているはずですので、慌てずしばらくお待ちください。


終了するとGenerateボタンのすぐ下に生成音声(Generated Audio)が表示され、再生やダウンロード(右上の↓ボタン)ができるようになります。

生成した音声は、Irodori-TTSフォルダの直下にある「gradio_outputs」内に日付ごとに出力されていますので、↓ボタンでDLし忘れても問題ありません。(※Voicedesign版の出力先はgradio_outputs_voicedesignフォルダです)



こちらは「こんにちは、私の名前はザラキ・ミナです!」とだけ入力して生成したもの。何も参照させず、設定もデフォルトのままですので、生成するたびにさまざまな声色で生成されます。ファイル名にはこのように、生成日と時刻が記録されます。


<音声を参照するには>

既存の音声の話し方や声色を真似させるには、画面上部の「Reference Audio」にmp3やwav形式の音声を入れて生成すればOKです。こちらは以前Seedance2.0で作ったimage2video動画ですが、このミナちゃんの声をIrodori-TTSでどれくらい再現できるかやってみましょう。



「Shotcut」や「DaVinci Resolve」などの動画編集ソフトでこの動画を読み込み、wav形式で出力すれば音声だけのファイルにすることができます。(mp3も参照音声として読み込めますが、参照音声としてはwavの方が無難です)


ただし、この音声にはBGMが入ってしまっているので、本来は参照音声には不向きです。Irodori-TTSはBGMも含めて参照音声として模倣するので、生成音声にもこのようなセリフ以外の音が入ってしまう恐れが増大するのですね。


参照音声は次のような内容のファイルがおすすめです。


①1人だけがはっきり話している音声

②長さは10秒から30秒くらい

③BGMや「サーー」というノイズ、反響が少ない。くしゃみや咳き込みなどがない

④生成したいトーンに近い話し方をしている(怒ったり、落ち込んだりした声だと生成音声にもトーンが反映されるため)

⑤できればwav。mp3でも可

⑥音量が一定で聞き取りやすい


④が一番重要で、同じ人物の声でもひそひそ声だったり、声を張り上げたりしているとそのトーンに引っ張られてしまいます。かといって棒読みすぎると生成結果が棒読みに寄るので、ここはなかなか難しいところですね。つまり、Hな声を自然に生成したいときは、できるだけHな声を参照させたほうがよいわけです。


<実践>

話を元に戻しましょう。このように、Reference Audioにさきほどのイス動画から切り出したミナちゃんのwav音声を読み込ませました。テキストには「こんにちは、私の名前はザラキ・ミナです!」と入力してあります。


このままでも生成できますが、模倣させたい場所がある場合や、余計なSE(環境音。ドアを閉めるバタンという音など)がある場合は、右下にあるはさみのボタンを押すと、このように一部をトリミングすることもできます。(右下のTrimボタンを押せば切り取り部分だけが参照音声として反映されます)


こちらが生成結果。上の動画と聞き比べてみてください。声の高さや、ちょっと舌足らずな感じがよく似ているように感じます。懸念していたBGMも入っていませんでしたね。

ただし、この参照音声で何度か生成しているとやはり、背後にBGMのような音楽やSEが入ってしまうことがありました。ノイズやBGM、息づかいなど余計な要素が入っておらず、理想的な声色の音声を自分で作って読み込ませると良さそうです。



<絵文字で感情コントロール>

Irodori-TTSの目玉機能の一つが、絵文字でセリフの感情コントロールができること。テキストウィンドウの真下にある「Emoji Palette」(絵文字パレット)を開くと、このようにさまざまな絵文字が出てきます。


それぞれが感情や話し方を示しており、一見何を意味しているのか分かりにくいですが、マウスオーバーで説明を読むことができます。


絵文字と対応する意味の一覧は、こちらのhuggingface上で閲覧することができます。一部足りないもの(朗読)などを末尾に補って、以下引用します。


👂 囁き、耳元の音

😮‍💨 吐息、溜息、寝息

⏸️ 間、沈黙

🤭 笑い(くすくす、含み笑いなど)

🥵 喘ぎ、うめき声、唸り声

📢 エコー、リバーブ

😏 からかうように、甘えるように

🥺 声を震わせながら、自信のなさげに

🌬️ 息切れ、荒い息遣い、呼吸音

😮 息をのむ

👅 舐める音、咀嚼音、水音

💋 リップノイズ

🫶 優しく

😭 嗚咽、泣き声、悲しみ

😱 悲鳴、叫び、絶叫

😪 眠そうに、気だるげに

⏩ 早口、一気にまくしたてる、急いで

📞 電話越し、スピーカー越しのような音

🐢 ゆっくりと

🥤 唾を飲み込む音

🤧 咳き込み、鼻をすする、くしゃみ、咳払い

😒 舌打ち

😰 慌てて、動揺、緊張、どもり

😆 喜びながら

😠 怒り、不満げに、拗ねながら

😲 驚き、感嘆

🥱 あくび

😖 苦しげに

😟 心配そうに

🫣 恥ずかしそうに、照れながら

🙄 呆れたように

😊 楽しげに、嬉しそうに

👌 相槌、頷く音

🙏 懇願するように

🥴 酔っ払って

🎵 鼻歌

🤐 口を塞がれて

😌 安堵、満足げに

🤔 疑問の声

💪 力強く

👃 匂いを嗅ぐ。ふんふんという音

📖 ナレーション・朗読(平板な読み上げ)


絵文字には、「喜びながら」「早口で」のように、その後に続くテキストに関与するタイプと、「沈黙」「舌打ち」のように、その絵文字の挿入された位置に対応する音が入るタイプがあります。一つのテキストに複数入れることも可能で、例えば、以下のような組み合わせができます。


・ため息と沈黙

😮‍💨こんにちは、私の名前は⏸️ザラキ・ミナです。


・怒り声とエコー(途中の舌打ち😒は出ず)

😠もう…😒なんであたしがそんなことしなきゃいけないんスか!📢やだー!


・悲鳴からの安堵

😱キャーッ!おばけーっ!⏸️😌なんだ、野生のスライムか…


・早口電話からのため息、怒り、強い口調

😰📞⏩もしもし博士!?いまあなたの後ろに…😮‍💨💥😠くそっ、遅かったか!


絵文字は複合するほど効果が薄まるようです。完璧にうまくいくわけではありませんが、ある程度はトーンを操ることができるので、あとはガチャを繰り返して理想通りに生成できるか試すことになります。

VoiceDesign版の使い方

もう一つのIrodori-TTS、「VoiceDesign版」では、声の雰囲気をユーザーが文章で指定することができます。先ほど触れたように、最新版の「V3」では音声参照も同時にできるようになったので、今後はこちらが主力になっていくことと思います。

VoiceDesign版を起動し、画面左上のCheckpoint欄が「Aratako/Irodori-TTS-600M-v3-VoiceDesign」になっていればV3がインストールできています。


通常版と違い、「Caption / Style Prompt」というオプション欄ができていて、ここに日本語で声質や喋り方を書き込めるようになっています。もちろん空欄でも生成でき、その場合はセリフ内容と参照音声に沿った演技内容になります。


<キャプション・スタイルの指示方法>

VoiceDesign版のキャプション欄では、単に「女性声」「男性声」と書くよりも、

「どんな人が、どんな場面で、どんな感情で、どんな話し方をしているか」を指示すると効果が出やすいようです。


指示の例はこんな感じ。


①若い女性の声。店員のように明るく、少し高めのトーンで、はきはきと話す。

②相手に傷つけられて泣きそうな状態。声が震えていて、弱々しく、悲しみがにじんでいる。

③親しい相手に話している大人の男性。くだけた雰囲気で、少し呆れながらも楽しそうに話す。


話者の指定は「若い女性」「大人の男性」などが通じやすく、「メスガキ」とか「おっさん」とかになるとうまく通らなくなります。ここでは「少しハスキーな、元気な女の子の声」と指定して、さきほどと同じ「こんにちは!私の名前はザラキ・ミナです」を読ませてみます。(音声参照はなし)


こちらが生成結果。ハスキー…かどうかははっきりしませんが、とりあえず元気な女の子の声になりました。「ザラキ↑」の発音が「代々木」と同じで、私のイメージ(荒木↓と同じ)とは違うのですが、ここはコントロールが難しいところです。


もう少し効果が分かりやすくなるよう、今度は「悩ましい、セクシーなお姉さんボイス。うっふ~んな感じ」と指定してみます。セリフは同じ。


おお、これは見事にセクシーお姉さんボイス!今度は「落ち着いた美少年の声」と指示します。これもかわいいですね。


今度は中年男性の声もいけるか試します。「乱暴そうなおっさんの声」だとなぜか女の子の声のままだったのですが、「乱暴そうな中年男性」とするとうまくいきました。「おっさん」という表現がプロンプトとして伝わりにくかったようです。


もちろん、VoiceDesign版でも絵文字機能を使うことができます。同時に声色もテキストで設定できるので、耳の絵文字と一緒に「耳元でひそひそささやくようなASMR声」と指定してみました。


すると、このようにひそひそ声でもちゃんと生成できました。後ろでノイズというか、衣擦れのような音が聞こえるのは、「ASMR」という単語に反応したようです。なるほど…。


<SEも同時生成できる?>

直接「背後で衣擦れの音が聞こえる」と指定したらこうした音をいつでも出せるかと思いましたが、なぜか耳障りなキーンという音が出てしまい、安定しませんでした。他には「耳かき」と入れるとカサコソ…という音も出せましたが、ぼんやり「耳かきってこういう音だよな…?」と学習しているだけらしく、音がこもって気持ちいい音にならないので実用性(?)は低そう。


「ASMR」というボイス指示も安定するわけではないので、まだキャプション指示でSEも自由にコントロールできるレベルには達していないようです。いずれLoRA学習や特化モデルなどが出てくると、これも解決できてしまいそうですね。


一貫性を持った人物の音声を作るには

VoiceDesign版のアップデートにより「AI音声をtext-to-speechで作り、それを参照させて固定する」というフローがVoiceDesign版単体でできるようになりました。音声参照なしで生成すると、Seed値ごとに異なる声色になりますので、イメージ通りの声や話し方になるまでさまざまなセリフ・スタイル指示で生成を繰り返して、サンプルボイスを作っていくのがよいでしょう。


こちらは今作っているゲームのヒロインの4つのセリフを連続で流したもの。VoiceDesign版で作った同じAI音声を参照させているので、おおむね同じ人物の声に聞こえると思います。

ただ、これをイヤホンでしっかりした音量で聴くと、背後の「サー…」というホワイトノイズが生成ごとに違って聞こえるのも分かるかと思います。Irodori-TTSでは、ほとんどノイズなくきれいに生成できることもあれば耳障りな音が混じることもあり、テキスト内容やSeed値の引きに左右されるようです。(後述しますが、こうしたノイズはある程度なら機械的に除去できます)


<キャラのサンプルボイスは感情ごとに用意しよう>

Irodori-TTSの参照音声機能をうまく使うためにまず理解したいのは、Irodori-TTSは「声色」と「感情による話し方の変化」を区別しないということです。平静なトーンで話しているサンプルボイスを読ませると、叫ばせたいセリフでも平静な話し方の音声に引っ張られるので、なんだか不自然に聞こえます。こういうときは、生成したい音声に合わせて参照音声もバリエーションを用意するとうまくいきます。


例えば、冒頭で紹介したゲームのフルボイス化では、「鬼怒川さん・ノーマル」「鬼怒川さん・いらいら」「鬼怒川さん・喘ぎ声」「鬼怒川さん・ひそひそ」「鬼怒川さん・催眠棒読み」のように、同じ声で違う話し方のサンプルボイスを用意しておき、シーンによって使い分けることで上手にトーンを操作することができました。普通、人は怒っているときは声を張り上げたり、悲しいときは声を落とすので、それぞれの声を納得できるまで通常版でガチャして作りました。


こちらは、「棒読み版」のサンプルボイスをもとに作った鬼怒川さんのボイスです。これを参照させれば、さきほどの鬼怒川さんと別人の声にはならずに、平板な喋り方をさせることができます。

作業時はまだVoiceDesign版のV3が登場していませんでしたので、まず鬼怒川さんのメインとなるサンプルボイスを用意して、「📖はい…。私は自我を失いました…。なんでも言うことを聞きます…。」などとセリフを指示。できるだけ平板かつゆっくり喋っている音声を生成し、さらにそれを参照させる…といった作業を繰り返して、それぞれイメージ通りの話し方のサンプルボイスを作っていました。


V3にアップデートされた現在なら、このように鬼怒川さんのサンプルボイスを参照させつつ、スタイル指示で催眠にかかったような声をよりスムーズに演出できますね。


こちらが「V3」で作った音声。「抑揚のない、ロボットのような棒読み」と指示しました。ノイズが少なく、話し方や声色がイメージ通りのものをチェリーピックして参照させれば、こうした話し方の鬼怒川さんセリフを増やしていくことができます。


各パラメータの意味

さて、これでだいたいの使い方は説明できました。Irodori-TTSにはほかにもさまざまなパラメータがありますので、一挙に説明します。


Checkpoint 使用するTTSモデル。通常版ならAratako/Irodori-TTS-500M-v3。

Model Device 生成に何を使うか。GPUで生成なら「cuda」。

Model Precision TTS本体モデルの計算精度。fp32はVRAM負担が重い代わりに生成精度が高い。bf16のほうが軽くて精度はそこそこ。

Codec Device 音声変換に使う場所。これもGPUなら「cuda」。

Codec Precision 音声コーデック部分の計算精度。こちらもfp32の方が精度が高い。

Text Irodori-TTSに読ませたい文章を入れるプロンプト欄。日本語で書く。漢字を読み違えたり、イントネーションが違う場合は、ひらがなやカタカナにすると変化する。

Reference Audio 声を寄せるための参照音声を読み込む欄。トリミング可

Speaker Embedding 話者の学習済みデータを読み込む機能(LoRAに似た感じ)

Caption / Style Prompt 声質や話し方・演技を文章で指定する欄。VoiceDesign版で使用できる。

Num Steps 生成のステップ回数。デフォルトは40。画像生成のstepsと同じ感覚で、増やすと遅くなるかわりに安定しやすいが、上げれば上げるほど良くなるわけではない。

Num Candidates 1回の指示で音声を同時にいくつ生成するか。4にすると同時に4つ音声が生成される。

Seed Seed値。空欄ならランダムになる。固定すると似た声を再現しやすい

Seconds 出力秒数。Irodori-TTSはテキスト欄から自動で判定できるので空欄推奨

Duration Scale 生成する音声の長さ(※1.0ならテキストから推論した長さに)

TimeSchedule 拡散生成の時間ステップの進め方。linearが標準で、swayは低遅延向け。普通の品質重視ならlinearのままでOK。

SwayCoeff SwaySampling用の係数。TimeScheduleでswayを使うとき用らしい。

CFGGuidanceMode CFGをどうかけるか。independent、joint、alternatingがあり、デフォルトのindependentはテキスト、参照話者、captionなどを別々の強さで制御できる一番柔軟な方式。

CFG Scale Text 文章への忠実度。デフォルトは3.0で、上げると読み間違いを減らしたり、テキスト通りに発音させる力が強くなる。下げると読み違えが増えるが、自由で自然な演技ができるようになる。

CFG Scale Speaker 参照させた声への寄せ具合。上げると似るが、息遣いやノイズまで似せてしまう場合は下げる。デフォルトは5.0。

CFG Scale Caption Captionへの忠実度。デフォルトは4.0。

CFGScaleOverride 全CFGを一括で上書きする古い共有指定で、空欄推奨。


 ▲Num Candidatesを「4」にして生成すると、同時に4つの音声が生成できる



<Advanced (Optional)=上級者向けタブ>

※未検証。理由がなければ基本いじらなくてよいと思います。


CFGMin t / CFGMax t CFGを有効にする拡散時間の範囲。デフォルトの0.5〜1.0なら生成過程の後半寄りでガイダンスをかける、らしい。

ContextKVCache テキスト、話者、captionのK/V投影を事前計算してサンプリングを速くする高速化機能。デフォルトでONなので、そのままでよし。

TruncationFactor 生成の初期ノイズを控えめにする設定で、デフォルトは空欄。ランダム性を少し抑えるツマミというイメージ。0.8や0.9にするとバリエーションが減って安定することがあるが、表現力や芝居の幅も減りやすいらしい。

Rescale kとRescale sigma 「TemporalScoreRescaling系の実験パラメータ」とあるが、上級者向けのよう。普段は空欄でよさそう。

SpeakerKVScale 参照音声への類似度コントロール。1.0より上にすると参照音声に似せられる。

SpeakerKVMin t SpeakerKVScaleをいつから適用するか。生成過程の一部で話者性を強める操作ができる、らしい。

SpeakerKVMaxLayers SpeakerKVScaleを最初の何層までに限定するか。空欄なら制限なし、あるいはデフォルト挙動。空欄でいい。

LoRAAdapterDirectory Irodori用LoRAを読み込む場所。LoRAを作っていないなら空欄。


<パラメータまとめ>

基本的にはデフォルト値のままで高品質な音声が生成できます。うまくテキスト通りに読まない場合はCFG Scale Textを強めますが、他に「読み違える漢字はひらがなにする」「文章を短くする」「候補数を増やす」「Seedを変える」などを試すと改善することがあります。


パラメータでは改善が難しいのは、AIの知らない架空の固有名詞のイントネーション。「鬼怒川」とか「更木」といったキャラ名はひらがなやカタカナに変えて入力すると読み違えを避けられますが、イントネーションをイメージ通りにするのはかなり難しいです。


音声が途中で始まったり、途中で切れたように聞こえるときは、DurationScaleを1.1倍にすると、やや長めの尺が取れて安定するようです。長尺のセリフになるほど読み違えやノイズが起きやすいようなので、途中で二つに分割できるセリフ内容なら前半と後半で別々に生成したほうがよいかもしれません。


ノイズの除去方法

音声生成を繰り返していると、こちらの音声のようにたまに強めの「サー…」というホワイトノイズが入っている音声が混じります(スピーカーだとわかりにくいかもしれませんが、ヘッドホンだと耳障りです)

参照音声にもよると思いますが、こうした雑音が入る頻度はだいたい生成3回に1回くらいで、強度もまちまちです。これをどのように取り除けばよいか検討しました。


・Audacityでやる方法

無料ソフトでは、まず無料の音声録音・編集ソフト「Audacity」のノイズ除去機能があります。


まず音声をAudacityに読み込み、波形の中で、セリフがなくて「サー音だけ」が鳴っている部分を0.5秒〜2秒くらい選択します。ここはできるだけ長めにとれるとうまくいくようですので、冒頭の1秒程度を選択しました。そうしたら「エフェクト▶ノイズ除去と修復▶ノイズの低減」をクリック。表示された「ノイズプロファイルの取得」を押します。


これで、選択したところから「サー音」を消したい音として覚えさせることができました。そうしたら、Ctrl+Aで音声全体を選択して、もう一度同じ「ノイズの低減」を開きます。あとは「ステップ2」部分に書かれているように、ノイズ低減のつまみを左右にずらすと、サー音を消すことができます。左下の「プレビュー」を押すと、強度ごとの結果を聞くことができます。


ノイズ低減を増やすほど強力にサー音が消えますが、ボイスへの影響も強まります。何か合成音声のような割れた声、のっぺりした声、水の中でしゃべるようなこもった感じに変容してしまうことがあるので、強度にはよく注意しましょう。


こちらが除去結果。先ほどのセリフと聞き比べると、ほぼ完全にと言っていいほどノイズが消えましたね。


・Codexを使った一括ノイズ除去

ただ、Audacityを使ったやり方だと工数が多すぎて、ゲーム全体の数百あるボイスからサー音を取り除くのはかなり大変そうです。大量の音声からノイズを一括削除するためには、ffmpegという動画・音声用の無料コマンドラインツールをCodexに使わせる方法があります。


まず先に、こちらからffmpegを導入します。

https://www.ffmpeg.org/download.html

Windowsならこちらの「Windows builds from gyan.dev」をクリックし、リンク先から「ffmpeg-git-essentials.7z」をDL。解凍ソフトで展開してインストールします。


あとはCodexに頼むだけ。例えば、このようにCodexにノイズ入りの音声を投げて、「ffmpegのafftdnフィルタでノイズ除去してください」と頼みます。(afftdnフィルタは、ffmpegの一般的なノイズ除去フィルタです)


すぐにファイルを生成してくれました。が、聞いてみるとわずかに「サー…」という音が残っています。そこでこのようにもう少し強くフィルタを掛けるように指示してみると、今度はほぼ完全にノイズが消えたものの、音声がこもったような音になり、クリアさに欠ける結果となりました。


さきほどAudacityではユーザー自身がプレビューしながらノイズ除去ができたのですが、一括処理だと適切な強度が音声ごとに一つ一つ違うため、過不足なくノイズ除去するのが難しいことがわかりました。


そこで、このような解決策を考えました。以下のようにCodexに指示し、弱め、中、強めと3パターンのノイズ除去を施した音声を用意してしまうのです。


「outputsフォルダ内のwavをすべて読み込み、ffmpegのafftdnフィルタでノイズ除去してcleanedフォルダに保存するbatファイルを作ってください。元ファイルは上書き禁止。まず弱め、中、強めの三種類のプリセットを用意し、それぞれcleaned_light、cleaned_medium、cleaned_strongに出力してください」


こうすると、さほど時間もかからずに数百件のボイスのノイズ除去版が3パターン生成されました。あとはゲームをプレイしながら、ノイズが強いと感じたボイスを除去済みのものと入れ替えることでクリアにできるというわけです。

▲開発中のゲームの自作デバッグツール。ゲーム画面で直接セリフを書き換えたり、音声を生成したり、ノイズ除去版と入れ替えたりできる


ノイズ除去については私もそこまで詳しくないため、とりあえず手近なフリーツールでやるとこのような感じになりましたが、より簡単で品質もいい除去ツールがあればぜひ情報頂けるとありがたいです。


AI音声の権利関係と注意点

さて、Irodori-TTSを使う上で最も注意しなくてはならないのは、実在人物の音声の模倣や権利関係です。AI音声には声優さんやナレーターといった実演家から強い懸念の声が出ており、音声生成プラットフォーム「にじボイス」が権利団体からたびたび「実在声優の声と似ている」として削除申請を受けてサービス終了するなど、これまでもトラブルが相次いでいました。


音楽の著作物や言語の著作物に該当しない「声色そのもの」は著作権法の保護対象にはなりませんが、パブリシティ権や不正競争防止法の文脈で問題になる場合があります。それぞれ「有名人の氏名や肖像が持つ顧客吸引力(人を呼び込む経済的価値)」や「事業者間の公正な競争」を保護するもので、こちらの記事に詳しく説明されています。


<ツダケンさん訴訟が進行中>

AI音声を巡っては先日、有名声優の津田健次郎さんがTiktokの運営会社を訴えたばかり。原告側はまさに、有名声優であるツダケンさん本人の声と誤認させる動画で視聴者を引きつける行為が「不正競争防止法違反およびパブリシティ権侵害に当たる」と主張しており、司法判断がどうなるのか注目されます。


まず「誰かの声にソックリな音声を生成・公開すると、悪意がなかったとしても訴えられる恐れがある」「音声の内容が本人のイメージを棄損する文脈であればあるほど、そのリスクは増大する」ということを確認する必要があります。声の権利はまだ判例が確立していませんが、訴えられてしまった時点で創作もなにもなくなってしまうので、ともかく安易・露骨な実在人物の音声模倣は現時点ではやめておくのが賢明です。


私が制作中のゲームも、もし発売後に突然個人や権利団体から「このAI音声はこの人物の声に似ており、権利侵害をしていることは明白なのでただちに削除してください。○○日までに応じない場合は提訴します」と通告された場合、にじボイスと同じ立場に立たされると思います。その声優さんの声をいっさい読み込ませていなかったとしても、弁護士名でそんなお手紙が届いたら強烈に萎縮しますし、訴訟リスクを押してまで世に出そうと思えるかは微妙なところ。それだったら、声優さんにきちんとお金を支払って全ボイス収録してもらったほうがずっと気分よく作品を世に出せるわけで、これはAI音声をめぐる非常に難しい問題だと感じています。



<Irodori-TTSの権利関係>

上記の前提を踏まえて、Irodori-TTSのコードと公開モデルの権利関係を見ていきます。Huggingfaceのモデルカードによれば、いずれも制限の緩いオープンソースライセンスである「MITライセンス」となっており、ライセンスの定める範囲でソースコードやモデルの複製、改変、再頒布、商用利用が認められています。


ただし、モデルカードにはなりすましや誤情報用途を避けるために下記のような倫理的制約も記載されています。


これらとAI音声を巡る現状や関連法規を踏まえると、Irodori-TTSを使う際に気を付けたいのは主に以下の点です。


①本人の明示的な許可なく、実在人物の声を複製・なりすましに使わないこと

②特に、声優、芸能人、配信者、知人などの声を無断で再現しないこと

③生成音声を誰かの本物の発言のように見せかけないこと

④デマ、詐欺、嫌がらせ、名誉毀損に使わないこと

⑤生成音声であることを明示したほうが安全な場面では、明示することでトラブルを避けること

⑥法律や規約は国・地域・サービスによって違うため、商用利用や公開前には自分で確認すること


これらはIrodori-TTSに限らず、AI音声を生成する上で自分の身を守るための最低ラインと思っておいたほうがよいでしょう。Irodori-TTS通常版で模倣させるなら、自分の声か誰にも似せていないAI音声、許可を得た声、権利処理済みの素材などを使うのがやはり安全。フリーボイスのようなウェブ上から自由に入手できる音声であっても、明示的に書かれていない限り「AIに読み込ませて模倣することまではOKしていない」というところが多いと思います。


実際に訴訟が起きたばかりですので、AI音声はAIイラスト以上に注意が必要なジャンルです。自分の身は自分でしか守れないので、本当に気を付けてください。



安全対策を検討

上記の①~⑥を守っていたとしても、生成音声が誰かに偶然似てしまい、自分は知らなかったが他の人は誰が聞いても「あの人の声だ」と感じる音声になってしまったというケースはあり得ます。実際に読み込ませていないのであれば、生成時のファイルを残しておけばある程度証明ができそうですが、画像生成AIのようにSeed値も含めた完全な復元はできなそうですし、より安全に潔白を証明できる方法はないかと検討しました。


現時点の暫定的な考えではありますが、Irodori-TTS通常版を安全に使う上で有効そうなのは、オリジナルキャラクターの参照音声を作るときに、「どうやってそれを作ったか」の証拠を作って誰でも見えるところに表示しておくことです。


私は鬼怒川さんのボイスを作る際に、VoiceDesign版でさまざまな声を生成し、そのうち一つを参照させて通常版でさまざまなセリフを喋らせ、好みのクールで暗く、ハスキーかつねちっこいセクシーさが出るよう探求しましたが、さらにその声をAudacityで加工する方法を考えました。こうすることで、私が誰か有名人の声に意識的に似せようとしたり、その誰かの顧客吸引力を利用しようとしていないことを客観的に補強できるのではないかというアイデアです。


「Paramatch」という話者識別モデルがあり、AI音声を読み込ませると類似した声優を推論(リンク先記事で"特定"とあるのは言い過ぎですね)することができます。


リンク先のHuggingfaceデモから、このように30秒以下の音声を読み込ませることで、印象の似た声優さんの声がスコア化されます。こちらは鬼怒川さんのセリフ音声を読み込ませたものですが、このように一致する話者がいないことを確認できるとより安心です。(そもそも声優さんに詳しくないと偶然の一致を避けることが難しい)




<Audacityでピッチ変更→参照し直し>

Audacityでは以下のような加工が可能です。まず、加工したい音声を読み込ませてCtrl+Aで音声全体を選択。そうしたら、「エフェクト▶ピッチとテンポ▶ピッチを変更」で声の高さを変更します。下の画像で「音程」とあるところを+にすると高く、-にすると低くなります。

弱いとあまり変わりませんし、やりすぎるとボイチェンした「誘拐犯の声」みたいになってしまいますので、0.3~1.0くらいの幅が限界ではないかと思います。


こちらは、ほどほどにピッチを上げたものと下げたもの。既にちょっと割れそうで不自然に聞こえますが、Irodori-TTS通常版で読み込ませて声を作る分には問題ありませんでした。


「エフェクト▶ピッチとテンポ▶ピッチと速度」では、いわゆるテープを早回ししたような、超早口でペチャクチャ高い声でしゃべるような加工ができます。5%程度だと、ピッチだけいじるより声の高さに幅が出せますし、より自然に聞こえるようです。ただし、セリフの長さが5%伸びたり縮んだりします。(上と下のファイルで2秒差がありますね)


<実践>

ではさっそく実験してみます。こちらはピッチと速度を+5%、-5%で変化させた音声をIrodori-TTS通常版に参照させて、同じセリフを生成したものです。いかにもボイチェンしたような「犯人っぽさ」は消えて、ある程度違う人の声になったのではないかと思います。

このようにしてサンプルボイスを変更に次ぐ変更で作り上げ、納得のいく音声ができたら、晴れてベース音声として読み込ませるわけです。ここまでやった記録をつけておけば、ある日突然誰かに「既存の実在人物に似ている、権利侵害だ」と言われても、元音声の出自やそこから任意に変更したことを客観的に示せます。少なくとも「特定の実在人物を直接参照したわけではない」と説明する材料にはなるはずです。


<固有名詞のイントネーションは鬼門>

ちょっと脱線しますが、さきほどの音声を聞いていただくと、「鬼怒川あんな」という名前を自然なイントネーションで読ませるの難しいことがよく分かると思います。


テキスト部分を「キヌガワ・アンナ」や「きぬがわあんな」「衣川あんな」などと工夫してみましたが、なかなか私の想定するイントネーションになりませんでしたし、「キドゥガワ」や「キドガワ」みたいな妙な発音になりがちでした。丸かっこを使って「鬼怒川(きぬがわ)あんな」と書いてみましたが、今度は「私はきぬがわカッ…きぬがわ、カッあんなだ」みたいになってしまい、失敗。鬼怒川さんが名乗るシーンがゲーム中になくてよかったですが、固有名詞のイントネーションはやはり鬼門ですね。


Hなセリフを読ませてみよう

最後に、皆さん気になるHボイスについての検証結果です。さきほどの鬼怒川さんの声で作らないといけないので、通常版を使ってあれこれ試しました。


・Hな囁き

「勃起チンポ…かっちかちになってるんだろ…?私の奥で、びゅーっ、びゅーって射精していいんだぞ…♡」

喘ぎ声版:「🥵勃起チンポ…かっちかちになってるんだろ…?🥵私の奥で、びゅーっ、びゅーって射精していいんだぞ…♡」

【コメント】絵文字なしでもかなり安定します。セリフ内容をエロくしてガチャすると、それにひっぱられてエロい喋り方にちゃんとなるようです。あとはよくできた音声を参照させれば、より安定してエロ音声を出せました。喘ぎ声絵文字「🥵」を入れると、フーッ♡フーッ♡という鼻声が入ってエロくなりますが、早口になり、割れることも多くなりました。


・喘ぎ声

「🥵あんっ♡ あっ♡ はーっ♡ はーっ♡ あんっ♡ いやあっ♡」

【コメント】🥵を冒頭につけて「♡」つきの息遣いを書いておけばだいたいこんな感じにできる模様。こういった喘ぎ声などのバリエーション作りはGrokが得意なので、以下のように指示するとよいでしょう。


・ちゅぱ音(フェラチオ音声)

「はぁ…じゅるっ♡ブポッ♡じゅぽっ♡じゅぽっ♡べろっ♡」

「はぁ…👅💋じゅるっ♡💋ブポッ♡👅じゅぽっ♡💋👅じゅぽっ♡👅べろっ♡👅」

【コメント】このようにするとちゅぱ音が出せます。が、普通のせりふに比べ生成結果は安定しません。絵文字だけだとセリフのない音だけになりますが、割れてしまいがちでした。絵文字を入れすぎても不自然になるので、ほどほどに入れるのが良いかも。ちゅぱ音は有償の音素材がたくさんあるので、無理に生成しない方が自然になる説あり。


・性的ASMR

VoiceDesign版:「👂😮‍💨ふーっ…♡ どうしました?ここがこんなになってますよ…♡ うふふ…♡」

【コメント】VoiceDesign版の場合、絵文字「👂😮‍💨」をつけて、「耳元で吐息交じりのささやき声」と演技指示するとこうした囁き声にしやすかったです。ただし、音声参照だとはっきりした声寄りになってしまうので、鬼怒川さんボイスのままでこういう囁き声にするのは至難。


通常版:「👂😮‍💨ふーっ…♡ どうした…?ここがこんなになってるぞ…♡ ふふっ…♡」

これが限界で、さらに参照させて囁きに寄せていこうとすると割れてしまいました。Seed値の引きで、鬼怒川さんの囁きボイスをうまく再現できるのを待つしかないかも。


・SEとの合成

さきほどの喘ぎ声音声に、有償音声素材のパンパン音を重ねたもの。こうした音声素材はFANZA同人などで購入することができます。


このように、Audacity上でドラッグすれば簡単に合成できます。音声の長さが異なるので、余分な部分は右クリックして「クリップを分割」し、不要な部分を削除すればOKです。



終わりに

というわけで、Irodori-TTS特集でした。正直Codexの性能の高さ、やれることの広がりにも十分驚いていたのですが、そこにIrodori-TTSが加わったことで、ビジュアル面でもボイス面でも大いに表現の幅が広がったように感じています。


特に、このようなちょっとした動画需要にIrodori-TTSはぴったり。Sunoによる音楽やGPT Image2の立ち絵量産と組み合わせ、Codexにお願いすればほとんど人間が手間をかけずにこうした動画が作れます。

一方で、怖いのは身の覚えのない権利侵害の疑いを掛けられてしまうこと。このミナちゃんの声はSeedance2.0がたまたまお出ししてきた声を模倣していますが、これも私の知らない誰か有名人の声に偶然ソックリだったりしたら、突然弁護士さんからお手紙が届いてしまうのではないか?という一抹の不安があります。


ツダケンさん訴訟のケースでは、毎回そのユーザーが動画にツダケンさんにそっくりな声を使っており、コメント欄などでもご本人の声と誤認する反応があったとのこと。そういうケースでは、やはりツダケンさんの声が持つ顧客吸引力を無断で利用し、不正競争にも当たると原告側が主張しやすくなると思われます。しかし「どれくらい似ていたらアウトなのか」「実在人物の声を模倣するつもりのないユーザーはどうやったらトラブルを避けられるのか」がはっきりしないので、もう少し安心してAI音声を使えるようになってほしいな、という気持ちで訴訟の結果を待っています。


個人的には、ツダケンさん訴訟は本当にどういう判決が出るか予測がつかないですし、原告側がどんな証拠で「単に声の印象が似ているだけではなく、AI音声によって本人の顧客吸引力にフリーライドしている」ということを証明するのか大変関心があります。スタジオ真榊の記事では繰り返し述べてきたことですが、余暇のAI活動でトラブルに巻き込まれるのは本当にバカバカしいので、まず他人の気分を害さない、訴えられない、ということを大前提に、自分の身は自分で守っていきましょう。


というわけで、今回はここまで。次は好評頂いている「プロンプト大辞典onSDwebUI」のv1.1をお届けできると思います。











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お怒り.wav

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うっふ~ん.wav

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美少年.wav

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おっさん.wav

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