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静寂の続く遺跡内で、動きが消えてただのランプとして床に置かれていた金色のランプが、僅かにぐらりと動く。揺り戻しと収まる動きによって、カタカタと小さな音を発し、一旦止まったように見えらたら再び揺らぐ。そのサイクルが少しずつ短くなり、その揺れもだんだん大きくなる。
動きが最大まで激しくなって、床との擦れによって細かな金属音が響き始めた直後、抑え込まれていたものが一気に溢れ出すように、ランプの先端の口から淡い光を発する青い煙が噴き出す。しかしその煙は拡散するのではなく、空中で収束して色を濃くしていき、それが少しずつヒトのシルエットを形作っていく。
曖昧なシルエットが具体的な形へと変化していく。細身の手足とくびれのある腰、豊満な胸元と長く伸びる髪。形が固定され、青い煙薄らいで消えた事で、グリードランプの中に吸収されて姿を消したエルミラが再びその場に現れた。
「(こ、ここは……)」
暗闇の中に……いや、”無”の中に沈んでいたエルミラの意識が浮上してくる。エルミラの肉体は煙の中に溶け込んで消えていた。その中で、彼女の意識は働いていない。エルミラの体感では、絶頂を迎えて意識が溶け込んでいった直後に意識の覚醒が始まっている。突然の意識の切断と浮上によって認識の混乱が生まれるが、それが正常化していくのと同時に、最初にエルミラが感じたのは身体が空気に触れる感触だった。空気が地肌に触れてやけにスース―している。それに金属が直に肌に触れている冷たい感触。それらの明らかにいつもの魔術師として衣装ではない。
「なんだ……このふざけた格好は……」
いつの間にか、全く違う衣装を身に纏っている。肌の露出は非常に大きく、身体を覆う紫の布も生地が薄く、肌が薄っすらと透けて見える。各部の細かい金の装飾が体をよじらせる度に動き、ぶつかり合って小さな金属音を発しているのが非常に鬱陶しく感じられた。
エルミラはこの魔道具を見たのは初めてだったため、その用途も想像するしかない。しかし。これを作った者と、利用していた者が非常に悪趣味である事はこの衣装を見れば明らかだった。そして、想像される魔道具の用途も悪趣味なものであるに違いない。
「(やっぱり、技術ばかりが先走るとろくな事にならねぇな……)」
それはエルミラの持論だった。目的より技術や能力が先行すると、それを誇示するためにおかしな事をやり始める。無数の魔術師を見てきたからこそ感じるエルミラの、自虐的なニュアンスも含めた考えだった。
身体の変化……服装の変化を確認するために体をよじったり手足を動かしていたが、エルミラの身体は空中の一定の範囲内から離れる事が出来ず、吸い込まれる前と同様に、緩やかに固定されている状態だった。ランプの口からが広がる煙が足回りに煙が纏わりついているのも同じだ。しかし、先ほどと違うのは、自身の身体を拘束しているその煙との”繋がり”が感じられる所だ。
理由は考えるまでもない。先ほどの……屈辱的な体験の中で繋がったマナリンク。それによって明確に魔力の流れの繋がりが生まれているからだ。宙に漂う煙の、存在するはずのない感覚が伝わって来るように感じる。まるで煙が身体の一部となっているかのような感覚。魔力の流れが直接魂に繋がっているせいで生まれる錯覚である事を理屈で理解出来ていても、気持ちの悪い体験であるのには間違いない。その上、自分の体の一部のように感じるのに、自分の思い通りには動かない。
マナリンクは魂に深く結びついている。まだ肉体や意識の自由があるうちに何とかしなければ……とエルミラが考えている時、マナリンクで繋がった感覚が、身体を拘束しているのとは別の魔力の流れが伸びている事に気付いた。それに気づいても、その魔力の流れ……新たに伸びた煙の筋が伸ばす先に何があるか気づいても、今のエルミラに回避する手段がなかった。
「あっ、ん…………!」
股の間に再び形を持った煙が潜り込み、突きあげた。エルミラは最初、自分の口から発せられたそれが自分の声だと理解出来なかった。不意に敏感な箇所を刺激されたこそばゆさや不快感とは違う、身体が刺激をそのまま“快”と認識している。魔物どころか、無機物である魔道具に責め立てられ、達してしまった……その屈辱的な経験が再現されているが、拒絶しようにもその場から離れる事は出来ず、身体は意識とは無関係に快楽に反応している。
マナリンクで魔力の流れの繋がりがあるせいで、煙の触手の動きも自分で動かしているかのように感じてしまい、自分で敏感な箇所に触れる自慰行為のような気恥ずかしさが生まれる。しかし同時に自分の意識では止める事の出来ない責めに、明確な抵抗感と屈辱感も沸き上がる。
「んっ……ふぁっ………ああっ……!」
しかし心の中で不快感や拒絶心が浮かんでも、身体が快を求めてその責めを受け入れている。そして口から発せられる媚びた雌のような声を止められない。繰り返される上下運動の中で、不快、快感、拒絶、受容、怒り、喜び、感情と肉体感覚のズレ、自身の肉体・魂とマナリンクで繋がる煙の錯覚的感覚、それらがねじれて混ざり合って境界線がどんどん曖昧になっていく。
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使用素材:
サファイアソフト
OtoLogic
On-Jin ~音人~
バンカラ傾奇屋
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