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画像生成AIユーザーのためのCLIPSTUDIO超入門【第4回②エフェクト・線画編】
Published 05/11/2026, 11:47:32 AM

<記事内容の要約>
・AIイラストの仕上げに使える、クリスタの「ぼかし」「RGBずらし」「追加エフェクト」「テクスチャ加工」の実践的な使い方紹介
・統合状態のAIイラストから線画部分を抽出し、「色トレス」や「ベクター化」で線の太さや質感を後から調整する方法が分かる
・AI画像らしい既視感を減らし、完成前の「ラストワンマイル」を自分らしく仕上げるやり方を紹介
「画像生成AIユーザーのためのCLIPSTUDIO超入門」、今回は第4回「仕上げ編」の後半です。前回は主にAIイラストの色彩や明暗をフィルター適用するだけで格上げするカンタン手法を1~7まで紹介したので、今回はもう少し手間を掛けて、線画やエフェクトを魅力的に仕上げる手法を掘り下げていきます。
目次
(前回から続く)
8.ブラー(ぼかし)効果
①ガウスぼかし
<AIイラストの一部をぼかすには>
<色混ぜツールを使った部分ぼかし>
②スムージング
③レンズぼかし
④回転ぼかし
⑤放射ぼかし
⑥移動ぼかし
<ぼかし機能まとめ>
9.色収差ずらし(RGBずらし)
<部分的なRGBずらし>
10.追加エフェクト
<効果ブラシを使った追加エフェクト>
<画像編集モデルを使った追加エフェクト>
<エフェクト抽出を使った作例>
11.線画抽出と線画加工
<①AIイラストの線画分離>
<②元画像と重なる線画にする>
<③得られた線画の最適化処理>
「色トレス」のやり方
抽出線画のベクター化
<ベクター化は太めの線画向き>
キャラ部分だけの抽出もカンタン!
12.テクスチャ加工
<手描きイラスト感を出すテクスチャ>
おわりに
8.ブラー(ぼかし)効果
クリスタではさまざまなやり方で、AIイラストの一部または全部をぼかすことができます。キャンバス内で焦点をコントロールすることで、目立たせたいものの主従をはっきりさせられるほか、AIイラストが苦手な背景の細部をさりげなくごまかすこともできて便利です。
クリスタの「フィルター」機能には、以下のような「ぼかし」機能があります。
①ガウスぼかし
「ぼかし」と「ぼかし(強)」は、キャンバス全体(もしくは選択した範囲)を決まった強度でぼかしてくれる通常のぼかし機能…なのですが、どれくらいボケるか自分で調整できないため、あまり使いません。普段使うのは「ガウスぼかし」の方です。
ガウスぼかしを選ぶと、このように「ぼかす範囲」を自分で調整することができます。ただし、選択範囲の「ふち」も一緒にぼけてしまうので、範囲によっては下のレイヤーが覗いてしまうことがあることに注意が必要。
<AIイラストの一部をぼかすには>
では、AIイラストの狙った部分だけをぼかすにはどうしたらいいでしょうか。AIイラストは全てのレイヤーが統合された状態で出力されているので、ひと手間掛ける必要があります。例えば、こちらのイラストのミナちゃんだけをちょっとぼかしたい場合はどうしたらいいでしょうか。
きれいにミナちゃん部分だけを選択、もしくは別レイヤーに移すやり方もありますが、それは記事後段で解説するので、ここではごく簡単なやり方を紹介します。
まず最初に「レイヤーを複製」で元画像と同じ別レイヤーを作ってから作業開始。(※別レイヤーに複製して作業するのは、元画像を破壊しないためもありますが、後で説明する「取捨選択」に役立つためでもあります)
そうしたら、選択ツールの「投げなわ選択」などでこのようにミナちゃんを雑に選択します。
▲ちょっとみにくいですが、大きめにミナちゃんを囲ってます
もちろん、このままガウスぼかしを掛けると、このように、背景の桜部分も一緒にボケてしまいます。これは、選択範囲の「ふち」がはっきりしている状態だからです。
こういうときは「選択範囲▶境界をぼかす」を使います。「ぼかす範囲」を求められるので、キャンバスサイズと囲った範囲の大きさを勘案して決定しましょう。(1K-2Kサイズのキャンバスサイズなら、10~50px程度でやってみるのがよいでしょう)
「OK」すると選択範囲のふちがぼけた状態になりますが、肉眼ではよくわかりません。そのままガウスぼかしを掛けてみると、このように選択範囲の境界が程よくぼけてくれて、自然なぼけ具合になりました。
まだ桜部分のボケが不自然に見える部分は、ふちに柔らかい消しゴムを掛けて調整することができます。さきほど複製レイヤーを作って作業したおかげで、すぐ下に元画像のレイヤーがあるので、はっきりした元の桜を復元することができます。
<色混ぜツールを使った部分ぼかし>
「ガウスぼかし」は選択範囲を均等にぼかすツールですが、なでるとその部分だけぼかせるツールもあります。デフォルトの「色混ぜ」ツールセット内にある「ぼかし」ツールでできそうに思えますが、これでそのままなでると、このようにぼけているというよりは色がそこだけ混濁したようになります。
このぼかしツールは、キャンバスの上に塗った絵の具のふちを指でなぞってぼかしたり、2色の絵の具同士をキャンバス上で混ぜ合わせたりするための機能であって、AIイラストの一部をぼかすのには向いていません。個人的なおすすめ素材は、こちらの「Blender Brushes」。どういうものかはリンク先のGIFを見ていただくのが早いですね。
4つあるブラシのうち「K Blender Main」を選び、大きめのブラシサイズでミナちゃん部分をぐるっとなでるとこのような感じになります。選択範囲いらずで、任意の場所を簡単にぼかすことができました。
ガウスぼかしは全体に均等にぼけますが、このツールは段階的にぼかし度合いを強めることができるので、直感的に使いやすいです。特にAI絵では、塗り部分の生成ミスや汚れて見える部分をきれいに「ならす」のにも使えて便利です。
②スムージング
「スムージング」は、ガタガタした線のイラストを自動でスムースにしてくれるアンチエイリアスのようなぼかし機能です。ただ、低強度でi2iしたような微妙な結果になるので、基本的には使いません。上位互換の「編集▶スマートスムージング」のほうがより綺麗です。
主に、拡大して引き伸ばしたイラストのピクセルが目立ってしまったときに使います。例えばこちらの画像は、600x800pxで保存した画像を2倍以上に拡大したもの。ピクセルのガタガタがドット絵のように目立ってしまっています。
これに「スマートスムージング」を掛けると、このようにカクつきが目立たなくなります。強度は「弱・中・強」の3段階があり、プレビューをオンにすると見比べることができます。…が、AIユーザー的にはあまり使う機会は少ないですね。Controlnetの「Anytest」を掛けてi2iしたほうがきれいですし、始めから高画質にアップスケール出力すればいいわけですから。
③レンズぼかし
「レンズぼかし」はカメラで撮影したような自然なぼかし効果をAIイラストに付与できる機能です。ガウスぼかしは均等に焦点をぼかすだけですが、こちらはぼけた背景の「ハイライト」部分が多角形や円形に輝いているような効果を再現することができます。
「ハイライトの形状」を決めて、「ハイライトの強調」を強めると、上図のようにハイライトとみなされた明るい部分がその形状に強調されます。
今度は背景だけをレンズぼかししてみます。いったんキャンバス全体にレンズぼかしを掛けてしまい、柔らかい消しゴム(特大サイズ)でミナちゃんだけをぐりぐり塗りつぶすだけでOKです。そうすれば、例によってすぐ下にある元画像が露出して、ぼかし範囲の取捨選択ができます。
こんな感じで、ミナちゃん以外だけにレンズぼかしを掛けることができました。非破壊的に作業したい場合は、前回紹介したマスク機能を使ってもよいでしょう。
④回転ぼかし
回転ぼかし・放射ぼかし・移動ぼかしは、いずれもガウスぼかしに一定の方向性を付けたものです。まずこれが回転ぼかし。
中心点(赤い×)を選んで、その周辺が回転しているような効果を与えられます。AI絵ではまず滅多に使いませんが、ゲームのエンカウント演出とか、タイヤの回転効果とかの再現に使えます。
⑤放射ぼかし
「放射ぼかし」は結構使います。漫画における「集中線」の写真版のような効果を与えられます。中心に吸い込まれるような演出なら、ぼかす方向を「中心方向」に、中心から外へ放射状にぼかす場合は「外方向」にします。デフォルトは「両方向」です。
全体をぼかしてから、さきほどのように不要な部分に大きい柔らかい消しゴムを掛けたり、不透明度を下げたりして見え方を調整しましょう。
⑥移動ぼかし
三つの中で一番使うのが「移動ぼかし」。キャンバス上の一方向にぼかしを掛けます。こちらのような動きのある画像に「残像」をつけるときに使いますが、リアルタッチの絵でないと不自然になることもあるので、画風と相談して利用しましょう。
「移動ぼかし」を使って上のイラストを右方向へぼかすと、このようになります。キャンバス全体がブレているので、カメラ自体が横に振れているように見えますね。
ぼける向きは「ぼかす角度」のつまみで調整できます。数値が増すほど、時計回りにぼかし方向が変更されます。「180」近くにすると、真横(左右)方向にぼけます。ぼかす方向を「後方」にすると、右方向にだけぼかすこともできます。
残像は後ろに向けてブレるように残るものなので、体の背面以外の部分を消しゴムすると、より自然に仕上げることができます。AI絵の実務的には、おっぱいの揺れとかピストン系のHな動きとかを表現したいときに使うことが多いかなと思います。
このように、わざと後ろ方向(この画像だと右)にぼかしたレイヤーをずらしてしまうことで、より残像っぽくする手法もあります。これは一直線の動きより、行ったり来たりするピストン動作を表現するときに向いている手法ですね。
「合成モード」を調整することでも見え方を調整できます。これは重ねた移動ぼかしレイヤーを「カラー比較(暗)」にして、ブレをよりはっきり示した例です。
<ぼかし機能まとめ>
このように、クリスタには便利なぼかし機能がたくさんあって楽しいのですが、うまく使わないといかにも「クリスタに振り回されている感じ」になってしまうので注意が必要です。ぼかし機能はAIイラストの一部に限定して使うのが基本。特に、激しく動いている手やボール、剣などに移動ぼかしを掛けたり、キャラクターの手前にある花を効果的にぼかして遠近感を出したり、目的意識をはっきり持ってきれいに仕上げないと、むしろ品質が落ちることが多いです。
また、AIイラストでは、「blurry background」や「blurry foreground」、「bokeh」といったタグで生成したほうが、クリスタでやるより自然に演出できることも多いです。
フラットなアニメ調より、このような2.5D系(セミリアル調)のイラストのほうがこうした写真風のエフェクトは効果的。ただ、逆にヒューマンメイド感がなくなってしまって、なおさらつまらなく感じてしまうこともあります。イラストの品質を上げるために使うのではなく、ごく抑制的に、「ここがボケていないと不自然だからちょっとだけぼかそうか」くらいの感覚で使うのが良いと思います。
9.色収差ずらし(RGBずらし)
色収差ずらし(RGBずらし)は、主線(線画)部分が光の三原色にブレるポップなイラスト効果のことです。以前はオートアクションが必要でしたが、現在はアップデートによって「フィルター▶フィルターギャラリー」で簡単に掛けることができます。「放射状」と「平行」の2種類があり、それぞれ強度や角度を調整できます。
アップにするとわかりやすいのですが、このように元画像をRGBカラーにずらして配置することで、レトロ感やサイバーパンク感を表現することができます。一方で、やりすぎると見にくいイラストになってしまうことがあり、「ぼかし」機能と同様に抑制的な使用が求められます。
<部分的なRGBずらし>
例えばこのように、光が反射している部分にだけRGBずらしを掛ける方法があります。
やり方は簡単で、「元画像レイヤー」のすぐ下に「RGBずらしレイヤー」(元画像レイヤー全体にRGBずらしフィルターを掛けたもの)を重ねて、柔らかい消しゴムで元画像レイヤーを消すと、その部分だけ下のレイヤーが透けて、RGBずらし効果がかかったように見えるというわけ。
こちらが全体像。瞳や髪のハイライト、桜の光っている部分などを、プリズムが掛かったように見せられます。(この画像に合った表現かどうかはまた別の話ですが)
屋外のイラストだと比較的自然な光の表現に見えますが、屋内や暗い場面のイラストだとレトロゲーム画面やビデオ録画のようなエフェクトに見えたりもします。全体に強く掛けるとともかくブレて見にくくなるので、やめておきましょう。
10.追加エフェクト
クリスタには多彩なエフェクト素材・エフェクト機能が備わっているので、仕上げにスタンプを押すようにしてさまざまな効果を加えることが可能です。ハートやキラキラを散らしたり、白背景に模様を描いたり、光のプリズムを加えたり。
NanoBananaProなどを使って任意のエフェクトを作ることもできます。
エフェクトに使えるおすすめ素材は「第2回」の「6.効果ブラシ」を参照のこと。
<効果ブラシを使った追加エフェクト>
ここでは、無料で配布されているこちらの「効果ブラシまとめ11種」を使ってエフェクトを掛けてみます。
例えばこちらのイラストに、「ほわハート」をぐるっと掛けるとこのようになります。「加算(発光)」レイヤーにすると、より輝いているような表現にできます。
白色だけで同じサイズだと不自然に見えたので、手前に来るほど大きい「♡」になるように配置してみました。さらに、グラデーションツールを使ってこのようなカラーの♡にすることもできます。("透明ピクセルをロック"してからグラデーションツールを掛け、合成モードを"覆い焼き(発光)"にしただけです)
こちらは「質感ノイズマーカー」に同梱されている「ノイズぼかし」で、ハート部分をふんわりなぞったもの。光が拡散しているかのような表現がお手軽に加えられるので、光系のエフェクトを自然になじませたいときに便利です。
光のプリズム(写真撮影でいうレンズフレアやゴースト)も定番。CLIP STUDIO ASSETSでさまざまな素材が配布されているので、あれこれ試してみましょう。
使い方は簡単。まずは「加算(発光)」などの発光系合成モードで白い光をぐりぐり塗って光源を作ります。(光らせ方は前回特集を参照のこと)
「アクセントプリズムブラシ」ですっとなでると、このようなゴースト効果を与えられます。加算(発光)モードで、不透明度を30%まで下げています。
さきほど「ガウスぼかし」の項目で紹介した「K Blender」ブラシでぼかしても面白いと思います。
繰り返しですが、これもやりすぎ注意。こんな感じに盛り盛りゴテゴテにすると、写真風のエフェクトを通り越してプリクラ風になってしまいます(そういう表現を狙うならいいんですけどね)
<画像編集モデルを使った追加エフェクト>
クリスタで全てやらなくても、こうしたエフェクトをNanoBananaProやGPT Image2で「作る」こともできます。例えば、さきほどの桜の画像に「この画像に、エモーショナルな逆光エフェクトを掛けてください。レンズフレアも載せてください」と指示してみます。
こちらがNanoBananaPro。
こちらがGPT Image2です。10枚連続生成できるので、一番よく見えるものをピックアップしました。
指示文があいまいなので、かなり過剰になってしまいましたが、最終的にどうしたいかがはっきりしていれば、思った通りのエフェクトを掛けやすいと思います。いったんエフェクトを掛けたあと、このように指示することで、エフェクトだけのレイヤーを抽出することもできます。
エフェクト白背景で抽出するより、このように黒背景で抽出すると合成しやすいです。
「スクリーン」など、黒い部分が無視される合成モードで重ねると、そのままエフェクト部分だけを重ねることができます。
<エフェクト抽出を使った作例>
ちなみに、以前作ったこちらの二次創作作品は、NanoBananaProを使って墨のエフェクトを後から加えて作ったもの。瞳や背中、脇の輝きはクリスタで光らせています。
肉眼でないと伝わりにくいのですが、イラスト部分はさらさらとしたアルミプリントで、その上に光をよく反射する別素材で墨エフェクト部分を盛り上げています。専門の業者さんに特殊プリントを依頼する際、エフェクトだけ別レイヤーにして納品する必要があるのですが、NanoBananaProを使った抽出法だと簡単にできました。
11.線画抽出と線画加工
AIイラストの線画部分を別レイヤーとして抽出することで、線画に色を載せて周囲となじませる「色トレス」や、「ベクター化」によって線画の太さやタッチをより自然に仕上げることができます。
▲AI線画を鉛筆によるラインに変換し、色トレスを加えた例
AIイラストの仕上げ処理が難しい理由の一つとして、「すべてのレイヤーが統合された状態で作業が始まる」ことが挙げられます。通常のイラスト工程では、まずラフを基に線画を作り、それをベースに部位ごとにレイヤー分けして色を置いていくので、あとから一部だけ差し替えたり、直したりすることが容易ですが、AI絵はそうはいきません。良くも悪くもすべての中間工程をすっ飛ばして最終成果物にたどりついてしまうので、線の溶けやミスを直しにくい問題があります。
線画と塗りを分割する試みには「QwenImageLayered」などがありますが、家庭用VRAMにはやや取り回しが重く、精度もそこまでという感じ。毎回AIイラストを作るたびに起動するのは大変なので、線画だけでも簡単に抽出できると、編集性が格段に上がります。
ちなみに、こちらはSDXLでの線画抽出のやり方を紹介した、2024年6月のアーカイブ記事です。現在は、NanoBananaProやGPT Image2とクリスタの各種機能を組み合わせることで、このときよりずっと自然な仕上げができるようになってきています。
<①AIイラストの線画分離>
まずは第3回で紹介したやり方で、AI絵の線画化から始めます。基本的には、そのとき最も性能の良い画像編集モデルを使うのが良いでしょう。2026年5月現在なら、NanoBananaProかGPT Image2がまず有力候補となります。
線画を抽出したいAI絵を入力して、「白黒の線画にしてください」と頼みます。今回はこちらのイラストを使ってみます。(背景がボケているので本来は線画化処理に向かないイラストですが、とりあえずそのまま読み進めてください)
こちらはMagnific(旧Freepik)で入力したところ。キャンバスサイズは大きめ(2K以上)のほうが良いでしょう。
するとこのように、線画を得ることができます。
こちらはGPT Image2(ChatGPT-5.5)に同じ依頼をしたもの。
いずれもきれいに線画化できたように見えますが、実はどちらも問題が生じています。こちらがGIF比較。よく見比べると、かなり細部の処理が違うことが分かると思います。
今回読み込ませたイラストは、やや背景がボケていて線画抽出には向かない画像だったので、遠景になるほどハルシネーションが目立つように見えます。特に、GPT Image2が描いたベンチをよく見てみると、元画像を線画化したというより、自分で新たに画像生成してしまっていますね。
これは別の線画化画像ですが、このように影部分がハッチング(斜線で影を表現する技法)になってしまうこともよくあります。髪の毛部分が黒ベタになってしまうこともあるので、プロンプトの工夫が必要です。
こうすると100%うまくいく、という絶対的なプロンプトがあるわけではありませんが、GPT Image2でもNanoBananaProでも、以下のようなプロンプトを使うと比較的安定するようです。おのおの好みがあるかと思いますので、適宜調整してご使用ください。
指示:入力画像を正確な白黒線画に変換してください。新しく描き直すのではなく、元画像のエッジを抽出してトレースしてください。描かれているものの位置と形をすべて元画像に合わせてください。黒ベタや、影部分のハッチングは禁止です。新しい物体を追加したり、背景を描き直したり、線画イラストとして再解釈したりしないでください。色、影、ハイライト、グラデーションを消し、白地に黒線だけで表現してください。元画像にレイヤーとして重ねたとき、主要な輪郭が一致することを最優先にしてください。
<②元画像と重なる線画にする>
さて、こうして出力した線画と元画像を重ね合わせたいところですが、実はそのままではうまくいきません。現在のモデルは参照画像のキャンバスサイズや描かれているものの位置を完全にそのままキープするのが苦手ですので、どうしてもピクセル単位の「ズレ」が出てしまいます。(下図は手の線画が揃っていますが、髪の毛や目の線画はずれてしまっています)
これは技術的限界ですので、線画レイヤーをうまく半透明にして重ね、変形ツールでなんとかきれいに重なるように人力でいじるしかありません。「レイヤーカラーを変更」で線画の色を一時的に赤色に変更すると、やや重ねやすくなるかと思います。
別の解決方法として、このように「何もしないでください」とか「入力画像と完全に同じ画像を出力してください」と頼んで、そのモデルの規定サイズで線画と同じサイズ・縮尺の画像を再生成してもらうというテクニックもあります。
少なくともNanoBananaProの場合は、この方法で線画と全く同じサイズ(今回は2K・auto設定だったので両方とも1792x2400px)でピタリと重なる画像を得ることができます。
ただ、よく見るとどうしても入力画像と微妙に細部が異なっていることがあり、完璧ではありません。極端な例では表情やポーズが変わってしまったこともあるので、完璧な解決方法ではないことをご留意ください。
<③得られた線画の最適化処理>
さて、さきほどのイラストは背景のボケが線画化処理に向きませんでしたので、ここからは別の白背景イラストの仕上げをやっていきます。これは、SDXLモデルでHires1.5倍、顔部分にADetailerを掛けたものです。さきほどのやり方で、線画と「何もしない」画像をそれぞれ得ました。
得られた線画をクリスタで読み込み、「編集▶輝度を透明度に変換」をクリックすると、このように透過できます。
「何もしない」画像のほうも、線画と完全に同じ2Kサイズで出力されています。重ね合わせてみると、このようにおおむね正確に線画化できていました。(ちゃんと重なっているか調べるために水色にしています)
うまくいかなかった場合は何度か生成しなおせば、そこまで大きくズレた線画にはならないはずです。
ただし、この時点で得られた白黒線画にはAIイラスト独特の「ピクセルむら」が生じてしまっています。「第3回」でも紹介したように、このようにキャンバス中に無数の見えないゴミが存在する状態ですので、透過する前に「トーンカーブ」を使ってゴミを処理します。
線画レイヤーを選択してこのように「トーンカーブ」を開いたら、まず左上と右上のここにドットを打ちます。
白い部分は完全な真っ白に、黒い部分はできるだけごみが少なくなるように加工したいので、このような形にしました。入力画像でグレー以下になっている部分は完全な白(0)に、黒っぽいところはグラデーションを損なわない範囲ではっきりと黒になります。
ちなみに、線画をそのまま守ろうとして直線にすると、今度はごみが取り切れません(額の白いところをよく見ると、縦横に色の付いた線が見えます)。プレビュー画面を見ながら、ちょうどいい感じに調整する必要があります。
きちんとごみとりができていないと、このように「ごみ確認」オートアクションでゴミピクセルが検知されてしまいます。
何度かトーンカーブをいじっていると、だいたいこれくらいのカーブなら線画を損なわずにゴミを取ることができると分かるようになります。このようになっていれば、きれいな線画が抽出できています。
これで、AIイラストとぴったり重なる線画レイヤーを抽出することができました。「レイヤーカラーを変更」ボタンを押すと、このように線画部分だけ好きな色に変えることができます。青だと不自然ですが、黒に近い茶色などにすると柔らかい印象のイラストに変更することができます。
「色トレス」のやり方
線画抽出ができていると、AI絵でも「色トレス」を行うことができます。これは、真っ黒な線画の上に周囲の色をふわっと乗せることで、線画の風合いを柔らかく自然に見せられる定番テクニックです。
やり方は簡単。このように、まずは元画像の上に線画をぴったり重ねた状態にします。
元画像をクリックして「レイヤーを複製」。複製したレイヤーを線画の一つ上に持ってきます。
そうしたら、「ガウスぼかし」で複製レイヤーをぼかします。これは、線画の周囲の塗りの色を拾ってくるための工程。ここでどれくらいぼかしたかによって、最終的な仕上がりが変わります。
複製したレイヤーを、ここのボタンで「下のレイヤーでクリッピング」すると、線画部分が変化します。
アップの比較図がこちら。分かりやすいよう、画面右側が「色トレス」された状態で、左側が黒線画がそのまま乗った状態にしてあります。線画の上に周囲の色をふんわり載ったことで、線画が柔らかい雰囲気になりましたが、これだと少し薄すぎて不自然ですね。
そこで「編集▶明るさ・コントラスト」や「編集▶色相・彩度・明度」機能を使います。複製レイヤーを「暗め・コントラスト高め・彩度高め」にして線画の濃さを調整しましょう。こうすると、いわゆる「エロゲ塗り」でよく見る色トレスができました。
今回のやり方では「ぼかし」で拾ってきた色をそのまま適用していますが、もちろん自分で線画部分に任意の色を載せることも可能です。線画のレイヤーでクリッピングしているレイヤー(今回は複製レイヤー)に直接ブラシなどで色を吹けば、該当部分の線画の色がその色になります。
抽出線画のベクター化
抽出した線画を「ベクター化」することで、太さや線の風合いをより任意にカスタマイズしたり、溶けてしまった線を簡単に修正することができるようになります。
まずは抽出した線画レイヤーを右クリック。「レイヤーの変換」を選ぶとこのような画面が表示されます。(透過処理していない白黒線画でも大丈夫です)
レイヤーの種類が「ラスターレイヤー」となっているところを「ベクターレイヤー」に変更します。これは、第1回でも説明した「描いた線画が後から編集できるレイヤー」です。あとから線画の色を変えたいので、「表現色」はカラーのまま。
そのまま「OK」してもベクター化できますが、「ベクター設定」をクリックすると、このように詳細設定を行うことができます。いまある線画をどこまで「ベクター線」として採用するか、線のガタガタをきれいにスムース処理するか(アンチエイリアスの強さ)をここで調整することができます。
注意すべきは、抽出できる線の太さの限界を決める「最大線幅」と、線のガタガタを処理する「アンチエイリアス」。最大線幅は狭すぎると、まつ毛のように黒ベタで塗られた線を変換できなくなりますし、アンチエイリアスは掛けすぎると元画像とズレてしまいますので、適宜調整が必要です。
あとは「OK」を押せばベクター変換は完了。ベクター線画は、このように線の太さやブラシ形状を「後から」変更することができるようになります。動画前半では線の太さを、後半ではブラシ形状をざくざくしたブラシや鉛筆ブラシに変換しています。
「最大線幅」を20pxでベクター変換したので、まつげのラインが極太の一本線として変換されており、太くするとまつげが目を覆ってしまうのが分かるでしょうか。こうした事態を避けたい場合は、線画段階でまつげの中を黒ベタにしない(細い線で囲う)のがよいでしょう。
瞳の線画が少しずれていますが、ベクター化されていますのでこのようにオブジェクトツールで調整することができます。髪の毛と一体化した部分などは「ベクター用」の消しゴム(消しゴム一覧にあります)で断ち切れますので、これでAI絵の修正がよりラクになります。
線画を直した結果、下の元画像レイヤーと矛盾してしまった場合は、さきほど紹介した「K Blender」でぼかしたり、自分で塗ったりして直すことができます。あまりにフォトリアルなイラストには向きませんが、フラットなアニメ塗りなら素人でも十分直せます。
<ベクター化は太めの線画向き>
もともと線画が太いイラストだとさほど印象の変化なくベクター化できるのですが、線の細い繊細な線画はこの手法に向きません。上のイラストはかなり線が細いので、元画像とのズレが目立っていますし、線画がガタガタして汚くなってしまっています。極端に言うと、アンチエイリアスがないとこのような感じでガタガタになりますし、アンチエイリアスを掛けると線の太さが足りず、形状が変化してしまうのです。
このように、もっと太めの線画なら、比較的安定してベクター化することができます。Bold LoRAなどを適用して始めから太目の線画で出力しておくと、あとあといじりやすいAIイラストになるので、最近は線の太いSDXLモデルを自作して使うようになりました。
こちらの二次創作イラストはもともと線画をかなり太目に出力したので、ベクター化して鉛筆タッチに変更しても自然なまま仕上げることができています。さらに、さきほどの「色トレス」の手法を応用して、プラチナブロンドの線画部分に青色を載せて輝きの表現にしています。
キャラ部分だけの抽出もカンタン!
さきほど「ガウスぼかし」の項目で、「背景とキャラクターが統合されたAI絵だと、キャラクター部分だけを編集することが難しい」という問題に触れましたが、この問題も線画抽出でかなり回避することができるようになっています。例えばこのように、背景とキャラクター部分を簡単に別レイヤーにできるので、別々の処理を掛けるのがかなりラクになりました。
まずは、先ほどの要領で線画抽出します。今回はキャラ部分だけ抜き出したいので、以下のように指示しました。
一発で出てきたのがこれ。もう一度生成してもいいのですが、これくらいなら手で消したほうが早いので、桜の木の部分はササッと消しゴムしてしまいます。
ちなみに、先にこの線画をベクター化してしまえば、ベクター用消しゴムの「交点まで消去」機能を使って簡単に木の部分だけを消去できて便利です。詳しいやり方は下記リンク先のTIP参照。
できた線画を元画像に重ねてみると、このように正確に重なりました。(見やすいように水色に変化させています)
あとは、「自動選択ツール▶編集レイヤーのみ自動選択」で、このように線画レイヤーの背景部分をクリックするだけです。これで、きれいに背景部分だけが選択できました。あとは「切り取り」「貼り付け」(Ctrl+x,Ctrl+v)で…
このように、キャラクター部分だけを別レイヤーにすることができました。
ただし、このままぼかすと透過部分が透けてしまう(▽)ので、アップにしてやるか、背景部分の「欠け」をNanoBananaProなどで補ってあげる必要があります。
背景だけを抽出するのは簡単です。「右下のキャラクターを消してください」と指示するだけでOK。
これで、ミナちゃんを好きな場所に好きなサイズで表示できるようになりました。線画との分離ができると、前景と背景の分離も簡単にできるというわけです。
色調補正で手前を暗めにしてあげると自撮りらしくなりますね。
こちらは、「ベクター線画化で鉛筆タッチに変換」+「色トレス」を施したもの。このように、ひと手間かけて線画抽出すると、AIイラストの編集性が一気に上がります。
12.テクスチャ加工
クリスタの「質感合成」機能を使って、布、肌、画用紙、木材など、さまざまな質感を加える手法です。AIイラストにおいては、例えば全体に画用紙に描いたような質感を与えたり、キャラクターのストッキング部分だけに本物の質感を与えたりすることができます。詳しいやり方は公式TIPSも参照のこと。
こちらのイラストでテクスチャ加工を試してみましょう。まずはストッキング部分だけを選択します。
いろいろ方法はありますが、一番手軽なのは「自動選択ツール」で「色の誤差」を大きめにしてぽちぽちクリックしていく方法。数値が大きすぎると他の部位も選択してしまうので、慎重に範囲を広げていきましょう。
間違ってストッキング以外が抽出されてしまった部分は、「選択範囲▶選択消し」でなぞれば簡単に消すことができます。
このようにだいたい選択できたら、テクスチャをドラッグします。
今回使ったのは、こちらの「タイツやストッキングの質感」。素材一覧から見つけたら、選択範囲の上にそのままドラッグすればこのようにテクスチャが張り付きます。
あとは、「効果」一覧にある「質感合成」をクリックするだけ。「強さ」を適宜調整してください。(貼り付けたレイヤーの合成モードを"オーバーレイ"にしてもOK)
すると、このようにストッキングの質感が合成されました。
アップにするとこんな感じ。グレーの色合いは無視して、質感だけが合成されているのがわかるかと思います。
貼り付けたテクスチャをオブジェクトツールで選ぶと拡縮できるので、網の目を細かくしたり粗くしたりすることもできます。
肌色や虹色でブラシを吹き、レイヤーを「覆い焼き(発光)」モードにすると軽率に光らせることもできて楽しいですね。虹色は「デュアルプリズムブラシ」のセットに同梱された「もや虹B」でふわっと塗っただけです。
あとは白背景部分に背景を入れて完成です。実際の作品では細部の修正(バニー耳が髪の毛と一体化してしまっています)や線画処理、瞳の描き込みなどをやりますが、仕上げ部分だけのデモンストレーションはこんな感じです。
<手描きイラスト感を出すテクスチャ>
クリスタには他にも、デフォルトでさまざまなテクスチャが用意されていますし、ASSETSからダウンロードすることもできます。基本的には範囲選択して貼り付け、質感合成するだけで使えますので、あれこれ好みのものを探してみましょう。
こちらは「水彩風オートアクション」に同梱されていた「紙質テクスチャ」を全体に掛けたもの。これは見やすいように強度をかなり強めに掛けていますが、弱めに掛けるとイラスト風の風合いにできます。
テクスチャを貼ったレイヤーは、順序を入れ替えることもできます。キャラのレイヤーより下の階層にずらせば、このように背景だけにテクスチャを掛けることもできて面白いですね。
ASSETSには肌のテクスチャや衣装系のテクスチャなどさまざまな素材がありますので、ちょっとここの情報量やリアルさが物足りないなと思ったときは探してみると良いでしょう。
おわりに
というわけで、「第4回」は前後編でした。私と同様に、AIイラストがきっかけで初めてクリスタを触る方は多そうですが、一番の活用しどころが今回紹介した仕上げ段階、つまり工程の「ラストワンマイル」に相当する部分ではないかと考えています。
AIイラストを生成し慣れている方は、ぱっと見で「あ、これはAI絵だな」とピンとくることがよくあると思います。一番分かりやすいのは、絵柄がもう有名モデルそのまんまのケース。例えばこういう「ザ・SDXL」な感じの画風とか…
こういう「ザ・ChatGPT」な感じとか。典型的なマスピっぽさが残っていると、ぱっと見でモデルの系統も言い当てられるという人もいるでしょう。
昔は「AIらしい絵」と言えば指や瞳がグチャグチャしているとか、髪の毛とまつ毛が一体化しているといった細部の破綻を差すことが多かったように思いますが、最近の画像編集モデルはほとんど破綻なく画像を仕上げられるようになっています。それでも「AIらしいイラスト」を我々があっさり見分けられるのは、「AIイラスト投稿者がよくアップしている、よく見る画風」をすぐ覚えてしまうからでしょう。
逆に言えば、工程の「ラストワンマイル」である仕上げ段階で、毎回自分らしく仕上げる独自の工程を持っていれば、自分らしい個性と連続性のある表現ができるということでもあります。9割がたNanoBananaProで漫画を作ったとしても、「第4回」で紹介した線画処理やエフェクト加工、色彩の調整などを行えば、ぐっと「よく見るマスピ画風」からの脱却を図れるはず。せっかくAIを使うのですから道中は大いにラクして良いのですが、そのぶん完成までのラストワンマイルでちょっと手間を掛けると、既視感のあるAIイラストと差別化できるようになります。
というわけで、長くなりましたが今回はここまで。次の「第5回」は漫画編です。これまでも画像生成AIを使った漫画作りについてはたくさん記事にしてきましたが、ChatGPT-5.5とGPT Image2の登場でまたフェーズが変わってしまったので、よりスムーズなAI漫画作りのやり方をもう一度構築できればと思っています。
<第5回に続く>
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ベクター線の操作.mp4

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背景とキャラクターの分離.mp4

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