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コピー機LoRA法が理解る!「CoppyLoRAwebUI」完全ガイド

Published 02/17/2026, 01:18:34 PM · Edited 02/17/2026, 01:49:07 PM

コピー機LoRA法が理解る!「CoppyLoRAwebUI」完全ガイド












<記事内容の要約>

・無料アプリ「CoppyLoRA webUI」を使って、2枚の画像ペアからさまざまな概念を学習できる「コピー機学習法」が使えるようになる

・二つのモードで画風LoRAを作るやり方を解説。画像ペアの実践的な作り方が分かる

・画風だけでなく、瞳ハイライト除去・線の太さ・ラフ化・身長調整などの調整系LoRAを自作し、普段のモデルをスライダー感覚でチューンできるようになる


こんにちは、スタジオ真榊です。こちらは、誰でも「コピー機LoRA法」による追加学習が簡単にできるアプリ「CoppyLoRA webUI」についてのまとめ記事です。2026年2月に最終版の「v3」が公開されましたので、改めて使い方やできることを総覧できる特集としました。以前はFANBOX支援者限定のアプリでしたが、v3は誰でも無料で使用することができます。


CoppyLoRA webUIを使うと、左の画像から画風だけを抽出して悪影響の少ない画風LoRAを作ることができます。他にも、「線画を太くするLoRA」や「モノクロにするLoRA」、「瞳のハイライトを消すLoRA」など、アイデア次第でさまざまな概念を学習できるようになります。要求スペックもVRAM4GB~と軽量です!

この記事では、コピー機LoRA法と通常のLoRA学習(データセット学習)法の違いを解説した上で、「SimpleTrainモード」と「DetailTrainモード」それぞれの使い方と、差分抽出のコツ、やってはいけないことなどを網羅的に紹介しています。これまでの検証結果を踏まえ、CoppyLoRAを作る上で必要な知識をまとめた特集としました。【約2万7000字】

目次

1.コピー機LoRA法とは

  <コピー機LoRA法の仕組み>

  <通常のLoRA学習との違いは?>

<コピー機LoRA法の限界>

2.CoppyLoRA webUIを導入しよう

  <インストール方法>

  <V2以前を入手している場合はスキップ可>

3.「CoppyLoRA」でできること

4.「SimpleTrain」モード解説

  <Modeによって何が変わる?>

  <SimpleTrainモードで学習してみよう>

  <分かる人向け:アプリ内部では何が起きている?>

5.「DetailTrain」モード解説

  ①ベースモデルを用意する

  ②入力する画像のペアを用意する

    ・ターゲット画像の作り方

    ・ベース画像の作り方

  ③キャプションを付ける

  ④学習開始

  <"v1"の生成テスト>

  <副作用の少ない"V2"を作る>

  <"v2"の生成テスト>

6.さまざまな差分LoRAの作り方

終わりに

1.コピー機LoRA法とは

「コピー機LoRA法」は、2枚の画像ペアを用意し、その「差分」を概念として抽出するStableDiffusion向けの追加学習法です。例えば、こちらの2枚のペアから「差分」を取ったら、適用するとどんな絵も白地+線画+黒ベタで描こうとする「モノクロ二値化LoRA」を作ることができます。

「ライオンの写真と蚊取り線香のイラスト」のように全く違いすぎる画像同士では差分が発散してしまうので、2枚は基本的に同じものを被写体としつつ、どのようなルールで変化させればよいかが明確な「ギャップ」を作るのがポイントです。


こちらの2枚なら、違いが瞳の描写だけですので、適用すると瞳のハイライトを消す「虚ろ目LoRA」ができます。非常にシンプルで分かりやすい結果ですが、なぜそんなことができるのでしょうか。


<コピー機LoRA法の仕組み>

コピー機LoRA法は、まずこの2枚それぞれの画像をわざと強烈に「過学習」させることで、どんなSeed値を与えてどんなプロンプト指示をしても、コピー機のようにそっくりな画像しか生成できないLoRA(=コピー機LoRA)をふたつ作ります。このLoRAを適用すると、たとえ「宇宙空間を飛ぶ全裸のおじさんを生成して」と指示しても、問答無用で入力したそれぞれの画像が生成されてしまいます。


そのままでは使い物になりませんが、その二つのLoRAの「差分」を計算すると、2枚の画像の「ギャップ」だけが抽出されたLoRAを入手することができます。

要するに、最終的にコピー機LoRAを作りたいのではなく、純粋な差分を抽出するための「踏み台」として、コピー機LoRAを使うわけですね。アイデア次第で、線画を太くするLoRAや塗りの彩度を上げてカラフルにするLoRA、描き込み量を減らしてシンプルにするLoRAなど、さまざまなLoRAを簡単に作ることができます。


ややこしいので、この記事では踏み台にする過学習LoRAを「コピー機LoRA」、その差分計算で抽出されるLoRAを「CoppyLoRA」と区別して呼ぶことにします。本来、コピー機LoRA法は設定や技術理解のハードルが高く、上級者向けの差分抽出法なのですが、AIエンジニアのとりにく(@tori29umai)さんが2024年11月にFANBOXで公開した「CoppyLoRA webUI」を使えば、誰でも予備知識なしで作ることができます。


<通常のLoRA学習との違いは?>

通常のLoRA学習では、十数枚程度の画像とキャプション(テキスト)からなるデータセットを用意して、「共通する概念」を抽出します。例えばこのような感じで、画風の同じ画像を用意すると、共通する特徴が学習されて「画風LoRA」ができますし、同じキャラのさまざまな画像を集めれば「キャラLoRA」になります。こうした通常の学習法を「データセット法」と呼ぶことにします。


データセット法でプロンプト指示通りの画像が生成できるLoRAを作るためには、データセット内のバリエーションを確保しなければなりません。例えば、自分の描いたイラストをたくさん用意して画風を抽出しようとしたときに、女の子キャラしか描いてこなかった場合は男性が描かれにくいLoRAになりますし、特定の構図が多いとどうしてもその構図が出やすくなってしまう弊害が起きてしまいます。また、データセットを用意して全部に「タグ付け」するのもなかなか手間が掛かりますよね。


一方、コピー機LoRA法の場合は、そうした予想しない「副作用」を最低限にとどめつつ、わずかな準備で欲しい要素だけをピンポイントに抽出・学習できるのがメリットです。例えば、こちらのペアからそれぞれコピー機LoRAを作って「差分」を抽出すると、描かれている茶髪・ショートヘア・黒Tシャツの被写体が同じで塗りや線のあしらいといった画風だけが違うので、結果として画風LoRAが作れます。用意する枚数はSimpleTrainモードなら1枚、DetailTrainモードなら2枚だけでOKです。


<コピー機LoRA法の限界>

そんなコピー機LoRAも万能と言うわけではなく、一定の限界があります。例えば、のび太のイラスト1枚だけでは、ドラえもんもジャイアンもいる藤子不二雄先生の画風を網羅できないように、バストアップの画像1枚からあらゆる画風を学習することはできません。人間が描く絵には、線の太さや色合いだけでなく、ポーズ選びや画角、パースなどあらゆる構成要素に個性が宿りますが、CoppyLoRAで適用できるのは、どんな絵でも問答無用でそう描くように印象づける、いわゆる「ハンコ絵」的なルール概念だけなのです。


その代わり、CoppyLoRAは差分概念をピンポイントで抜き出して学習できるので、LoRA適用時に狙った要素以外の影響を抑えることができます。こちらの例は、左の画像と全く同じ生成設定で「瞳のハイライト消しLoRA」を強度1で掛けたものですが、目以外の要素(表情や髪型、画角など)がほとんど変化していないことが確認できますね。この精度をデータセット法で学習させるのはかなり難しいです。


要するに、コピー機LoRA法とデータセット法はどちらが優れているというわけではなく、使い分けが重要ということです。例えば、あるキャラクターの容姿を再現する「キャラLoRA」を作る場合は、そのキャラクターのさまざまな角度・部位・ポーズ・表情・服装のデータセットがないと汎用性が保てないので、通常のLoRA学習のほうが向いています。一方、線画の太さや塗りのテイスト、身長や胸の大きさといったさまざまな要素をスライダーのように操作する「調整系LoRA」は、まさにCoppyLoRA向きというわけですね。

2.CoppyLora webUIを導入しよう

さて、コピー機LoRA法を手動でやろうとした場合、2種類の過学習LoRAを作って差分を取って…と非常に手間も知識も必要になるのですが、これをブラウザ画面上で誰でも簡単にできるようにした本邦初(世界初?)のアプリが、とりにくさん(@tori29umai)の「CoppyLoRA webUI」です。


詳しい公式解説はとりにくさんの下記noteから。この記事ではローカルにインストールする使い方を紹介しますが、別にGoogleColab版も用意されていますので、それぞれの環境に合わせて導入してください。


<利用規約>

以下、CoppyLoRA webUIの利用規約と公式Readmeを引用します。


ユーザーは、このソフトウェアを適切に利用し、法的な規制や他人の権利を侵害しないように注意する必要があります。ソフト開発者は、ユーザーがソフトウェアを適切に使用することに関して責任を負いません。基本的には『手書きでやってはいけないことはAIでもやってはいけない』というルールで運用してください。


===============================================================

【 ソフト名 】CoppyLora_webUI

【 対応環境 】Windows 10、11

【 制作者 】とりにく(Twitter:@tori29umai)

===============================================================

■CoppyLora_webUI■

1枚のイラストから絵柄を学習するLora学習補助アプリ


【免責事項】

・責任の免除

このソフトウェアを使用して生成された追加学習モデルに関して、ソフトウェアの制作者は一切の責任を負いません。追加学習モデルおよび、生成されたイラスト及びの使用に関連するすべての問題や損害について、ソフト開発者は責任を負いません。


・イラストの品質

追加学習モデルを用いたイラスト生成の結果に関して、制作者は品質、正確性、適切さについて保証を行いません。生成されたイラストは、アルゴリズムやデータに基づいて自動的に生成されるため、その品質は変動する可能性があります。


・著作権とライセンス

このソフトウェアを使用して生成された追加学習モデルやイラストに関する著作権やライセンスについては、ユーザー自身が確認し、遵守する責任があります。ソフト開発者は、生成されたイラストの著作権や使用権について責任を負いません。


・ソフトウェアの利用

ユーザーは、このソフトウェアを適切に利用し、法的な規制や他人の権利を侵害しないように注意する必要があります。ソフト開発者は、ユーザーがソフトウェアを適切に使用することに関して責任を負いません。


・このアプリはkohya-ss/sd-scripts(https://github.com/kohya-ss/sd-scripts)をバックエンドとして組み込んでおり、Apache-2.0 licenseを継承しています。


この免責事項は、CoppyLora_webUIの使用に関するすべての問題やリスクに対するソフト開発者の責任を免除するものであり、ユーザーはこれを理解し、受け入れたものとみなされます。CoppyLora_webUIを使用する前に、この免責事項をよく読んでください。


【GithubURL】

https://github.com/tori29umai0123/CoppyLora_webUI


引用ここまで。インストール前に以上をよく読み、理解した上で利用しましょう。



<インストール方法>

上記の公式noteにある「公開場所」のリンクから「CoppyLora_webUI_V3.7z

」(2.33GB)をDLし、WinRarなどの解凍ソフトを使って好きな場所に展開します。すると、このようなファイルが出てきます。

(※DLや展開時にセキュリティーソフトが反応する場合は、公式noteを参考にフォルダと実行ファイル名を除外リストに追加しておく必要があります)


「CoppyLora_webUI.exe」を実行する前に、必要なモデルを追加導入する必要があるので、「CoppyLora_webUI_DL.cmd」を右クリックし、「管理者として実行」します。


この画面が出たら「はい」。


黒いコマンドプロンプト画面が表示され、組み込みモデルであるAnimagineXL3.1などがDLされます。かなり時間がかかるので、しばらく放っておきます。DLが終了し、「Script execution completed Press Enter to close the script...」とメッセージが出たら準備はOK。ENTERキーで画面を閉じます。


<V2以前を入手している場合はスキップ可>

既にV2以前のバージョンのCoppyLoRA webUIがPC内にある場合は、少々乱暴ですが「CoppyLora_webUI\models」フォルダをV3のフォルダ内にコピペしておくと、AnimagineXL3.1のDLをスキップすることができます。Animegine以外にもDLするファイルがあるので、その場合もCoppyLora_webUI_DL.cmdは実行しておきましょう。


準備が済んだら、CoppyLora_webUI.exeを実行します。Windowsセキュリティが反応したら「許可」します。


ブラウザでこちらの画面が開けばインストールは完了です。次回以降もCoppyLora_webUI.exeから起動するので、必要ならデスクトップなどにショートカットを作っておきましょう。



3.「CoppyLoRA」でできること

さて、CoppyLoRAには「SimpleTrain」と「DetailTrain」の二つのモードがあり、画面左上のタブで切り替えることができます。基本的にはDetailTrainモードを使うことが多いと思いますが、コピー機LoRA法の理解のために、先にSimpleTrainモードについて簡単に触れておきます。


4.「SimpleTrain」モード解説

「SimpleTrain」は、あらかじめ用意されている「ベース1girlちゃん」(カラー&白黒)を使って、画風LoRAをかんたん学習できる初心者向けのモードです。この1girlちゃんを好きな画風で描き直して(もしくはimage2imageして)読み込ませると、その違いを再現できるLoRAが学習できます。

ただし、SimpleTrainモードで学習に使えるベースモデルはAnimagineXL3.1のみ。illustriousXLなどほかの系統のモデル用のLORAを作りたい場合は、DetailTrainモードを選ぶことになります。


「CharacterMode」はデフォルトでは「girl mode」ですが、「boy mode」に変えるとこちらの男の子のイラストで学習させることもできます。


覚えさせる画像は、線画でもグレイスケールでもカラーでもOK。線画は自分、塗りはAIにしたい場合は線画を、線画と塗りの両方を覚えさせたいならカラー画像を用意します。ただし、入力する画像によって、以下の5つの「Mode」から適切なものを選ぶ必要があります。


「Lineart」:白黒の線画を入力する場合

「Grayscale」:グレイスケール画像を入力する場合

「Grayscale_noline」:線画のないグレスケ画像を入力する場合

「Color」:カラーのイラストを入力する場合

「Color_noline」:線画のないカラー画像を入力する場合



<Modeによって何が変わる?>

少々ややこしいのですが、モード選択によって内部的に何が変わるか解説しておきます。これを理解しておくと、これから利用する「DetailTrain」モードでどんな画像ペアを用意したらいいかがスムーズに理解できるためです。


まず、CoppyLoRAの内部ではこちらの10枚の画像があらかじめ「ペア」用に準備されています。なぜ線画があったり、なかったりするかというと、自分で用意する画像との「対偶」を取って画風を強く印象づけるため。対偶というのはあくまで比喩ですが、例えば白黒の線画を用意した場合は「線画のないカラー画」との差分を学習するということです。


ざっとまとめると、Lineart(線画)とGrayscale(グレースケール画像)では「カラーで線画なしのベース画像を過学習させたLoRAとの差分」、Grayscale_noline(線画なしのグレースケール画像)は「カラーで線画ありのベース画像を過学習させたLoRAとの差分」、Color(カラーイラスト)は「モノクロで線画なしのベース画像を過学習させたLoRAとの差分」、Color_noline(線画のない塗りだけのカラーイラスト)は「モノクロで線画ありのベース画像を過学習させたLoRAとの差分」をそれぞれ抽出してLoRAを生成する仕組みになっています。


狙いは、入力画像と離れた画像との差分抽出を行うことで、ペア同士の「ギャップ」をより大きくし、狙った効果のあるLoRAを作ること。例えば、線画のタッチだけを覚えてほしい場合は、このような線画のないカラー画像との差分を抽出することで、より自分の線画のディティールを強く印象づけようという試みです。


<SimpleTrainモードで学習してみよう>

試しに、こちら(下段)の線画で画風LoRAを学習してみます。塗りは学習されないので、モデルの素の塗りとこの線画を混ぜ合わせた画像生成ができるLoRAになるはずです。


用意した線画は、このようにベース1girlちゃんのイラストを雑にトレスして描いたものです。「ギャップ」がそのままLoRAになるので、瞳のデザインや毛先などの細部を好きに変化させて構いませんが、ポーズや髪型、視線などは極力同じにするようにします。例えば、正面を向いてしまうと「画風+正面向かせLoRA」になりますし、髪を長く描いてしまうと「画風+長髪化LoRA」になってしまうわけですね。


「LoRa Name」欄で作るLoRAの名前を決め、Modeを選びます。今回は「sakaki_line_v1」とし、線画を入力するので「Lineart」を選択しました。これで、内部的には対偶の関係にある「線画なしカラー画像の1girlちゃん」との差分が計算されることになります。


「Train」ボタンを押すと、このように学習が始まります。VRAMを大きく消費しますので、StabilityMatrixなどはあらかじめ終了させておきましょう。

RTX4080(VRAM16GB)環境では、おおむね10分程度で一つのCoppyLoRAを作ることができます。だいたい、コピー機LoRA一つあたり7~9分、差分抽出に数分といったイメージ。DetailTrainモードはおおむねこの倍の時間が掛かります。


<分かる人向け:アプリ内部では何が起きている?>

CoppyLoRA webUIは、以下の学習設定でわざと過学習したコピー機LoRAを作ります。DetailTrainモードは自分でキャプションを決定しますが、SimpleTrainモードではもともと用意されたもの(各モードとboy/girlで固定)が使われます。

steps=500、batch=2、dim/alpha=16、AdamW8bit、fp16、UNet only、lowram=true

SimpleTrainモードの場合、差分計算のもととなるベース1girlちゃん(1boyくん)のコピー機LoRAはmodels\loraフォルダにあらかじめ用意されているので、新たに学習する必要がありません。コピー機LoRAの学習が1回だけでいいので、DetailTrainモードに比べて半分ほどの時間で済みます。



さて、学習が終了すると、「CoppyLora_webUI\output」フォルダ内にLoRAが出力されます。CoppyLoRA画面の最下段にリンクが貼られるので、こちらから普段使っているLoRAの格納フォルダにDLすることもできます。


できたLoRAを適用した状態で、AnimagineXL3.1で「1girl」を生成してみます。プロンプトは「1girl, upper body,smile,masterpiece,best quality,amazing quality, white background, simple background」としました。


こちらがXYZ plotで生成した比較図。一番上の段がLoRA未適用状態で、下に行くほど画風LoRAの影響が強まる設定になっています。

このように、塗りはAnimagineのままで、線画の手癖だけを学習させることができました。前髪がクロスしていて、まつげが横に長く、瞳は小さめ、もったりした髪ーーといった入力の特徴が再現されているかと思います。


ただ、線画だけで学習してもAnimagineの塗りの印象が強すぎるので、イマイチ効果が分かりにくいですね。そこで、次の章からは「DetailTrainモード」を使って、illustriousXL向けの本格的な画風LoRAを作っていきます。




5.「DetailTrain」モード解説

SimpleTrainモードではベース1girlちゃん(1boyくん)を使ってAnimagineXL3.1ベースで学習するのに対して、DetailTrainモードでは好きなCheckpointを使い、自由な画像ペアを使ってさまざまな差分を学習することができます。


こちらの画像をご覧ください。下段の画像が学習させたい画風のイラストで、上段はそのイラストから画風「だけ」を大きく突き放した画像です。描かれている被写体はすぐ右のキャプションに書かれている通り「無表情でピースしているショートカットで白Tシャツの金髪碧眼少女(白背景)」で同じなのですが、画風だけが大きく異なるので、この2枚の差分を抽出すると画風LoRAができるというわけです。

SimpleTrainモードと違って2枚の画像を自分で用意しなければならないのですが、上手に「差分」を作れないと副作用が出てしまったり、狙った効果がうまく抽出できなかったりします。順を追って、やり方を詳しく見ていきましょう。


①ベースモデルを用意する

まず、左上の「Base Model」欄で学習させたいLoRAのベースモデルを選びます。デフォルト状態ではAnimagineXL3.1しか選べませんが、「CoppyLora_webUI\models\SDXL」フォルダにCheckpointを追加することで、プルダウンメニューから好きなモデルを選べるようになります。

基本的に別系統のモデルであるほどLoRAは効きにくくなりますので、普段使いするモデルそのものを選ぶか、親系統のモデルを選ぶとよいでしょう。



今回の検証は、こちらのWAI Illustrious SDXL v16をベースモデルにします。

ただ、ベースにするcheckpointをいちいち「CoppyLora_webUI\models\SDXL」にコピー&ペーストするとストレージを無駄に圧迫してしまうので、既にDL済みのモデルを使う場合は、普段Checkpointを格納しているStabilityMatrixなどのModelsフォルダへの「シンボリックリンク」を作るのがオススメです。


・シンボリックリンクの作り方

シンボリックリンクとは、別の場所にあるファイルがあたかもそのフォルダ内にあるかのようにPCに認識させる仕組みのことです。以下の手順で、普段使っているCheckpointを保存しているフォルダをCoppyLoRA webUI上から参照できるようになります。


まず、先にある「CoppyLora_webUI\models\SDXL」フォルダを「SDXL.bak」などの別名にリネームしておきましょう。こうしておかないと、「その場所には既にSDXLという同名フォルダがあるからシンボリックリンクを作れませんよ」とエラーが出てしまうからです。(フォルダ内にあるAnimagineXL3.1が不要なら、リネームではなくSDXLフォルダごと削除してしまっても構いませんが、そうするとSimpleTrainモードが使えなくなりますのでご注意を)


できたら、スタートメニューで「cmd」と入力。「コマンドプロンプト」が表示されたら、普通に起動するのではなく、右クリックして「管理者として実行」を選びます。


私の場合は、「G:\CoppyLora_webUI\models\SDXL」フォルダにあたかも「G:\Data\Models\StableDiffusion」フォルダ(普段StabilityMatrixで利用しているcheckpointフォルダ)の中身があるようにシンボリックリンクを作りたいので、以下のように指示します。(適宜、それぞれの環境に合わせてフォルダのフルパスを変更してください)


mklink /D G:\CoppyLora_webUI\models\SDXL G:\Data\Models\StableDiffusion


シンボリック作成を指示する「mklink /D」のあとに半角スペースをあけて、まずシンボリックリンクを作りたい場所のフルパスを記入し、また半角スペースをあけてリンク先のフルパスを入れます。これを実行すると、以下のようなメッセージとともにシンボリックリンクが作成されます。


このように、「CoppyLora_webUI\models\SDXL」フォルダのアイコンが矢印つきに変化していればOK。これを開くと、StabilityMatrixのモデルフォルダの中身があたかもそこにあるかのように表示されます。



②入力する画像のペアを用意する

ベースモデルが用意できたら、DetailTrainモードを開き、下の段に覚えさせたい画風(もしくは概念)のターゲット画像、上の段にそれと「ギャップ」のある差分画像を読み込ませて、二つの違いを抽出していきます。今回はこちらの「ウィンク1girlちゃん」のイラストから画風を抽出してみたいと思います。


この画像ともう一枚の画像の「ギャップ」がLoRAとして抽出・学習されるので、画風LoRAを作りたい場合は、同じキャラクターをできるだけ違う画風にしたペアを用意する必要があります。ただし、画風以外のもの…たとえばポーズやカラー、衣装などが異なるとその特徴も副作用として学習されてしまいます。

例えばこのような差分画像を用意すれば、瞳のデザインや塗りのフラットさ、線画のあしらいなどを学習しつつ、ポーズなどの要素は極力変更しないLoRAができそうに思えます。


このようなペアはどうやって用意するとよいでしょうか。以下、理想の1枚の方を「ターゲット画像」、要素を突き放してギャップを強調するための差分を「ベース画像」として、それぞれの作り方を考えてみます。



・ターゲット画像の作り方

まずは手描きでも生成でも構いませんので、学習させたい画風のイラストを1枚作ります。あらかじめ、可能な限りLoRAにしたい内容を言語化できると良いと思います。今回は、「線画が途中でちょこちょこ途切れる手描き風のタッチ、フラットな塗り、淡いカラー、丸いハイライト、ハイライトの控えめな瞳」がテーマの画風なので、これらができるだけはっきりと描かれているカットにします。


ターゲット画像を作るときのコツと注意点は以下の通り。やや長いですが、ここが一番の重要ポイントなのでよく確認しておきましょう。


・線画、塗り、画材を意識する

画風は基本的に線画と塗りのペアで印象づけられます。線画をどのように処理するのか、塗りはフラットなのか、それともリアル寄りなのか、画材は水彩風なのか、アニメ塗りなのかなどをはっきり決めて、その特徴がよく出た画像をターゲット画像にすると良いようです。

・作画ミス・遠近表現・逆光は厳禁

6本指の画像や、瞳が溶けた画像などをターゲットにすると、その誤った特徴も画風の一部としてLoRAに焼き込まれてしまいますので、作画ミスがある画像は避けるか、かならず修正してから使うこと。また、遠近法で手前のものが大きく、奥のものが小さく描かれた画像(いわゆるパースの効いた画像)は使用しないようにしましょう。珍しい表情やオブジェクト、漫画的表現も避けた方が無難です。例えば、このような画像はターゲット画像に向きません。

このようなイラストをターゲット画像にすると、常に頭を大きく、足元を小さく描くLoRAになってしまったり、指の数を増やすLoRAになってしまったりしやすくなります。「1girl」で生成したときにやたらピンク背景になったり、王冠が出たり、顔の横に勝手に3本線が出たりすると、非常に使いにくいLoRAになってしまいますね。


同じ理由で、このようにやや逆光気味になって鼻の上にハイライトが入っている画像や、爪先と耳のラインが重なって、細部がわかりにくかったりする画像も避けることをおすすめします。順光で、描かれているものの輪郭を誤認しにくい、できるだけシンプルな画像を頑張って作りましょう。

・アスペクト比は1:1~3:4程度がベター

アスペクト比は縦長でも横長でも正方形でもOKですが、あまり極端に細長くしないほうがよいでしょう。通常のLoRA学習と同様に1:1~3:4程度としておくのが良いと思います。画像サイズはwebUIが自動で調整してくれるので、あらかじめ縮小する必要はありません。

・できるだけ特徴の薄い、ありふれた絵にする

髪や目の色、髪型など、ターゲット画像の要素もうっすらと学習されるため、あまり突飛な要素を盛り込まないようにしましょう。例えば、目元にほくろのあるターゲット画像を使うと、できたLoRAで少しほくろが生成されやすくなってしまいますし、「1girl」だけの指示で同じ髪色・瞳色のキャラが生成されやすくなります。そうした影響を鑑みると、服装はシンプルな白Tシャツに、背景も完全なwhite backgroundにしておいたほうがよいでしょう。

・ベースモデルが知らない要素はできるだけ排除する

DetailTrainモードでは「LoRAを適用したらこれ(上段)がこう(下段)なるように覚えてね」と指示をするわけですが、上の画像がベースモデルにとって知らない要素だらけだった場合、差分のルールが見いだしづらくなり、上手に学習が進みません。例えば、非人間型のロボットであるとか、タグで指定しづらい複雑な容姿をしているといった画像は選ばない方が無難でしょう。SimpleTrainモードの「ベース1girlちゃん」のシンプルさを思い出して、あのような特徴のさほどない画像を選ぶようにしましょう。

・版権キャラは避ける

基本的には「1girl」で生成することが多いと思いますが、お気に入りでよく生成するキャラだからといって、有名版権キャラを使うのはやめましょう。エヴァのアスカや初音ミクといったキャラクターは、各モデルが記憶している1girlの特徴とは異なる容姿として学習されていますし、服装などにさまざまな「記号」が多く存在します。そのため、そのキャラを題材に汎用的な画風を学習させようとしても、モデルが一般的な1girlの特徴としてとらえにくくなり、そのキャラ以外の「1girl」を生成したときにうまく効果を発揮できなくなります。

・全身絵は避ける(手が映り込むポーズがオススメ)

full bodyのイラストは顔や手が小さい範囲に描かれるため、まつげや瞳のデザインなど細かな特徴を覚えにくくなります。できるだけupper body、それもかなり顔が大きく描かれた構図を選んだ方がよいでしょう。

ただ、画風作りにおいては手や指をどう描写するかも非常に重要なので、できるだけ手が映り込むカットにするとよいと感じています。hand upやwaving、fingernailsといったタグを使ってできるだけ手が大きく映り込むようにしましょう。ただ、あまり変わった手のデザインの画像で無理に画風を覚えさせようとすると、むしろ指が崩壊しがちになるので注意。



これまでの経験上、ターゲット画像に向いたキャラクター描写は「白Tシャツ&ショートヘアの金髪碧眼少女の上半身を白背景・無表情で描く」というものです。


PP:1girl,solo,white background, simple background,upper body,white shirt,white T-shirt,v,fingernails,looking at viewer,blue eyes,blonde hair, short hair,hand up

服装をシンプルな白Tシャツにすると衣装の質感や影の付け方などを読み取りやすくなりますし、余計な副作用を防げます。黒髪黒目だと色使いの機微が分かりにくいので、金髪碧眼のキャラクターにし、カラーリングや塗りの特徴が出やすくなるのを狙います。ピースサインにしたのは、指の掌側と甲側の両方が見えるので、指のディティールを覚えるのに向いているためです。



<実例>

さて、今回の実験では「1girl,solo,masterpiece,best quality,amazing quality, eyelashes,one eye closed,upper body,tsurime,sanpaku,,school uniform,,aqua eyes,,side_ponytail,white background, simple background」というプロンプトに、書き込み量や線画の太さを調整するLoRA、画風LoRAなどを併用して、こちらの画像を生成しました。いま説明した金髪碧眼メソッドとは違いますが、とりあえず読み進めてください。


線画が途中で途切れる感じや塗りのフラットさを強調したかったので、image2imageやClipstudioでの加筆修正を加えて、こちらのベース画像を作りました。顔が大きく描かれたupper bodyで手の描画も入っているので、画風を学習しやすいと考えます。

ちなみに、ウィンクにしたのは目をつぶったときの画風も同時に覚えられるのではないか?という期待からですが、強制的にウィンクしてしまうLoRAになる可能性もあるので、やや実験的なやり方です。

さきほど「白Tのほうがいい」と書いたのに、ベージュのカーディガン姿にしていますので、ややメソッド通りとは言えない題材ですね。結果的にはこのカーディガンやボタンが副作用の原因になってしまうのですが、ターゲット画像選びがどのように学習に影響するかが分かりやすいので、こちらを使ってテストを行います。


・ベース画像の作り方

次に、この画像をもとに画風だけを突き放した(破壊した)「ベース画像」を用意します。どうやったら「狙った要素だけが理想の状態に変更されており、ほかは一切ターゲット画像のまま」の画像を入手できるでしょうか?


画風だけを突き放すには、描かれている被写体の位置はそのままに、タッチだけを大きく「破壊」する必要があります。例えばこの画像なら、元画像のアウトラインをanytest v3で保持しつつ、実写系モデル(juggernautXL)を使って突き放すやり方があります。


このような感じで、描かれている被写体は同じでも、描き方が全く異なるペアが簡単に入手できます。(NanoBananaProなどに「写真にして」と頼む方法でも同じことができますが、他モデルの学習に出力物を利用することを禁止する規約に抵触する恐れがあるので推奨しません。画像編集モデルを使う場合はQwenImageEdit2511などがよいでしょう)

画風破壊にはいろいろなやり方がありますが、私は元画像のアウトラインをanytest v3で保持しつつ、実写系モデル(juggernautXLなど)を使って突き放すのをよくやります。


今回はこのように、セミリアル系のモデルでimage2imageしたベース画像をまず用意しました。ウィンク1girlちゃんと同じものを描きつつ、画風は大きく離れたはずです。



ペアが用意出来たら、さっそく学習を始めます。CoppyLoRAwebUIを起動し、DetailTrainモードのタブを開いたら、BaseModel欄で学習するベースモデルを選びます。基本的には、LoRAを適用したいモデルを選ぶのがよいでしょう。シンボリックリンクを作ってあれば、プルダウンメニューから普段使うモデルが選べるようになっているはずです。

上の段が画風を破壊したベース画像(学習のベースになる画像)、下の段がターゲット画像(LoRAを適用した結果に当たる画像)ですので、取り違えないようにしましょう。



③キャプションを付ける

画像を読み込ませたら、それぞれの画像に「キャプション」をつけます。


CoppyLoRA作りにおけるキャプションは、通常のLoRA学習のデータセットと同じく、学習させる画像に何が描かれているかをAIに説明するもの。抜けや誤検出タグがあると、正しく上下の画像の差分=ギャップを認識できなくなるので、できるだけ正確につけるようにしましょう。CoppyLoRAにおいては、上下段とも同じキャプションにするのが基本です。danbooruタグでは同じ概念が描かれているけれども、上下段の画像にはどこかに「ギャップ」があるので、そのギャップがすべてLoRAとして差分抽出される仕組みです。


SDXLモデルの学習なら、基本的にdanbooruタグでOK。右側にある「Analyse tags for input image」ボタンを押すと、このようにそれぞれの欄に入力した画像のタグが自動検出されます。


<キャプションは同一にしよう>

CoppyLoRAにおいては「上下のキャプションは全く同じにするのが基本」です。「このプロンプトを入れたら、上段の画像を生成するのではなく、下段の画像になるようなLoRAを作ってね」という指示をするのだと理解すると分かりやすいです。つまり、もし上の段で「realistic」、下の段が「flat color」という画風やテイストに関するタグが自動検出されたとしても、そうしたタグは削除し、あくまで「どんな被写体が描かれているか」に絞った同一のキャプションにする必要があります。


ここがちょっとややこしいので、実例を見てみます。


今回の画像で抽出されたのは、「1girl, solo, long hair, looking at viewer, blush, simple background, shirt, black hair, long sleeves, hair ornament, white background, bow, hair between eyes, closed mouth, green eyes, school uniform, white shirt, upper body, one eye closed, collared shirt, hand up, bowtie, red bow, side ponytail, sleeves past wrists, scrunchie, cardigan, red bowtie, hair scrunchie, brown cardigan」というものでした。特にカラー系のタグで多いのですが、意味合いの重複したタグや誤検出タグはできるだけ削除しましょう。例えば、「white shirt」と「shirt」がある場合は、white shirtだけ残しておくようにします。

ここでは、重複タグを削除して、green eyesをaqua eyesに、brown cardiganをbeige cardiganに変更しました。「1girl, solo, long hair, looking at viewer, blush, simple background, black hair, long sleeves, white background, hair between eyes, closed mouth, aqua eyes, school uniform, white shirt, upper body, one eye closed, collared shirt, hand up, side ponytail, sleeves past wrists, red scrunchie, cardigan, red bowtie, hair scrunchie, beige cardigan」となったので、これを上段にもコピペします。


これはプロンプトではなく、あくまで上下の画像の「キャプション(画像説明)」であることに留意してください。つまり、クォリティタグなどは基本的に不要ですし、通常のLoRA学習のようにトリガーワードをつける必要もありません。プロンプト要素が異なる画像ペアだと、2枚の違いが概念として集約しにくくなり、狙った効果のLoRAにはならないので、同一のキャプションで表現できる画像ペアにするのが基本です。


こちらは、身長を高くするCoppyLoRAを作ったときのキャプションです。

1girl, solo, breasts, looking at viewer, short hair, blue eyes, simple background, blonde hair, white background, navel, closed mouth, bare shoulders, medium breasts, standing, collarbone, full body, swimsuit, bikini, barefoot, stomach, feet, legs, toes, bare arms, bare legs, halterneck, white bikini, ass visible through thighs

プロンプトは上下段とも全く同じにしていますが、下段は四肢が伸び、頭一つ大きなスタイルに描かれていますので、結果的に長身化LoRAになるという理屈です。もし「tall female」などが検出された場合は削除し、「このLoRAを適用したら、どんな1girlを描くときも上段ではなく下段のように描いてね」と印象付ける必要があります。



④学習開始

準備ができたら、「LoRA NAME」欄に作りたいLoRAのファイル名を記入して、Trainボタンを押しましょう。今回は線に入り抜きがあるフラット塗り画風なので「irinukiflat_v1」としました。(デフォルト名の"mylora"のままで学習開始してしまい、保存時に名前を決めるのでもOK)


DetailTrainモードは二つのコピー機LoRAを新規に作るので、simple trainモードの倍の時間が掛かります。RTX4080(VRAM16GB)では、だいたい15分~25分ほどで学習終了します。ちなみに、学習中はこのコマンドプロンプト画面を最前面に表示しておかないと、バックグラウンドアプリ扱いになってVRAM消費量が割り振られなくなることがあります。極端に学習が遅く感じる場合はチェックしてみましょう。


学習が終了するとこのように、webUIの最下部にsafetensorsファイルへのリンクが表示されます。右下に「〇〇MB↓」とあるところからDLできるので、普段使っているStabilityMatrixなどのmodels\LoRAフォルダに保存しておきましょう。

保存する前にこのwebUI画面を閉じた場合も、LoRAは「CoppyLoRA_webUI\output」フォルダにちゃんと保存されています(コマンドプロンプト画面の最終行にsaving model to〇〇と書かれていますね)。せっかく学習したLoRAが失われることはありませんのでご安心ください。



<"v1"の生成テスト>

さっそく性能テストです。wai illustrious SDXL v16に今作った「irinukiflat_v1」を強度0.6で適用し、髪色や髪型、服装をWildcardでランダム化して生成した結果がこちら。

使用したプロンプトは「<lora:irinukiflat_v1:0.6>1girl,solo,smile,upper body, straight-on, smile,white background,simple background,masterpiece,best quality」に、Wildcardで髪色・髪型・目の色・服装をランダム化したものです。おおむね、ターゲット画像の画風が再現できているように見えますね。


今度はXYZ plotを使い、できた「irinukiflat_v1」LoRAを強度0~1.0で適用してみます。アップスケールやADetailer、wildcardは不使用。(PP:1girl, upper body,smile,masterpiece,best quality,amazing quality, white background, simple background)

強度0.5あたりで、特徴的なハイライトの形やフラットな塗り、線画の特徴が表れ始めています。勝手に手を顔の近くにやったり、強制的にウィンクしたりするLoRAにはなっておらず、おおむねターゲット画像の特徴を再現できているように見えます。


ただ、元画像のような瞳のハイライトのない表現は「強度1.0」にするまで再現できませんでした。「目には普通白いハイライトが入るもの」というのはベースモデル(wai illustriousSDXL)が非常に強く学習しているので、ハイライトを消したい場合は画風学習と一緒にやるより、別に専用LoRAを作ったほうがうまくいきます。



<副作用チェック>

一方、LoRAの適用強度を強めるほどに、副作用らしきものも出てきています。LoRAを適用していない状態では白かったTシャツがベージュに変色し始めていますし、やや顔をかしげる効果が出ているように見えます。

また、ターゲット画像は「瞳の色と同系統のカラーのハイライトを髪に入れる」というデザインをしているのですが(下図参照)、できたLoRAは瞳の色に関係なく、髪のハイライトを強制的にグリーンにするLoRAになってしまっています。さきほどのXYZ plotを確認すると、強度0.75を超えたところでハイライトが緑がかってきていますね。

このように、CoppyLoRAでは意図や文脈とは関係なく、ごく機械的に2枚の画像の差分がLoRA化されます。使い勝手のよいLoRAになるかどうかは基本的にターゲット画像とベース画像で決まるので、慎重に選びましょう。


<副作用の少ない"V2"を作る>

V1のテスト結果を踏まえ、副作用を低減させた「V2」を作ってみます。まずはハイライト色の問題を解決したいので、このようにClipstudioの「色域選択」機能を使うなどしてカラーを緑からライトグレーに塗り直します。

選択範囲へのバケツ塗りだと境界がきれいにならないので、ここでは「編集▶色調補正▶色相・彩度・明度」で調整しました。


また、タグの検出が甘かったように感じたので、より慎重にdanbooruタグを検出するため、WD1.4Taggerで「ML-Danbooru Caformer dec-5-97527」を使ってタグ検出をやり直しました。例えば、顔をかしげる副作用があったのは、CoppyLoRAwebUIの純正タガーで「head tilt」を検出できていなかったのが原因かもしれません。


「ML-Danbooru Caformer dec-5-97527」はかなり感度のよいタガーなので、閾値を0.5~0.6程度に高めておくと誤検出が防げます。


検出されたのはこちら。

「1girl, solo, one eye closed, simple background, white background, side ponytail, bow, long hair, scrunchie, school uniform, black hair, cardigan, upper body, looking at viewer, eyebrows visible through hair, hair between eyes, hair ornament, closed mouth, bangs, long sleeves, collared shirt, shirt, hair scrunchie, red neckwear, blush, bowtie, red bow, white shirt, hand up, blue eyes, sleeves past wrists, aqua eyes, brown cardigan, red scrunchie, green eyes, breasts, sidelocks, head tilt, ponytail, sweater, medium breasts, brown hair, dress shirt, hand on own chin, wing collar, flat color, pink scrunchie, brown sweater, pale color, buttons, ;(, ribbon, frown, hand on own face, tsurime」が検出されました。太字にしたのは、主にさきほどCoppyLoRA上では検出できなかったタグです。


さきほどできた「v1」の結果を見ると、「beige cardigan」というキャプションを付けたのに、服を茶系に変化させる副作用が出てしまっていました。タガーはこの画像を「brown cardigan」や「brown sweater」だと認識しているので、ユーザー判断で変更せず、それをそのまま利用したほうが良さそうです。また、強度1ではtsurimeやhead tilt(顔をかしげる)効果もやや出てしまっていますので、これも加えることにします。一方、勝手に手を顔の近くにやる効果は特に感じられなかったので、「hand on own face」などは加えなくても大丈夫そうですね。


こちらが改善した「v2」用の画像ペアです。まず、髪のハイライトを緑からライトグレーへ変更。「beige cardigan」を削除し、「brown cardigan, head tilt,tsurime」を加えました。さらに、画風を破壊したベース画像もより写真調に近く、また輪郭(線画部分)もできるだけターゲット画像に近いものにすることで、予期せぬ副作用を減らしてみます。


画風破壊にはQwenImageEdit2511を使用しました。bf16版で「写真にして」と頼んだだけです。R-18の画像編集もできますし、NanoBananaProと違って出力物をモデル学習に利用することが可能なので、CoppyLoRA用の差分作成に非常に役に立ちます。QwenImageEdit2511による差分生成のワークフローとやり方については、こちらのComfyUI特集をご覧ください。



<"v2"の生成テスト>

できたLoRAで生成テストを行います。こちらが「v2」を強度0.6で適用し、髪型や髪色、服装をランダムで生成したテスト結果。ハイライトの問題が解決され、おおむね、画風がよく再現できているのではないかと思います。(紫の髪にはちゃんとライトパープルのハイライトになっています)

使用したプロンプトはさきほどと同様、「<lora:irinukiflat_v2:0.6>1girl,solo,smile,upper body, straight-on, smile,white background,simple background+Wildcard(髪色・髪型・目の色・服装)」です。



こちらはXYZ Plotを利用し、先ほどと同じ設定で比較したもの。


こちらは、v1とv2を同seedで並べたもの。左上にそれぞれ学習時に使った「ベース画像」を載せてあります。


まず、髪のハイライトが緑になってしまう副作用は当然ながら改善されました。瞳をツリ目にする効果も薄まったようですね。タグに「tsurime」を加えたことで、「これはツリ目の画像を生成している例だよ、ツリ目にすることを覚えてほしいわけじゃないんだよ」と印象付けができたためだと思われます。head tilt効果については、もともとこのseed値:1が首をかしげる構図だったのであまり効果が分かりにくいですが、こちらも薄まっているようです。


ただ、服装をベージュ色にする副作用については「brown cardigan」指定に変えたにもかかわらず、残ってしまいました。ランダムSeed値で生成しても、服色をプロンプトで指定しないと自動的にベージュ色になる効果が生じてしまっています(強度1.0)。

これはおそらく、ターゲット画像の全体に対してベージュ色が占める範囲が広かったために、「ベージュ主体のカラーリング」とか「上衣はベージュにする画風」という印象付けが行われてしまったためかと思います。


カーディガン姿にした弊害として、「ボタンが増えてしまう」悪影響もありました。さきほどタガーを使って検出した中には「buttons」というタグもちゃんとあったのですが、学習時プロンプトに入れていなかったので、強度を1.0まで強めると不自然な位置にボタンが現出します(下図の左下、右上を参照)

特に左下の女性の服は、ウィンク1girlちゃんの服装の影響が悪い形で出て、カーディガンかセーターか分からないおかしなことになっていますね。髪のハイライト色を直したときと同様に、ターゲット画像はやはり白いシンプルなTシャツ姿にしておいたほうが、思わぬ副作用が防げます。


以上のように、CoppyLoRAは比較的楽に線画・塗り・カラーリングの再現ができるのがメリットですが、ターゲット画像に含まれる予期しない要素まで学習してしまうことがよくあります。とはいえ、こうした副作用はLoRAを強く適用しなければ現出しませんので、0.5~0.65程度に弱めて使うのが基本。こちらは、さきほどの画風LoRA(v2)を強度0.5で適用して生成したミナちゃんですが、これくらいの強度ならさほど問題なく、画風をよく再現できていると思います。


特にここ!この線画の自然な途切れと、完全にフラットではないフラット塗り(膝の赤みなどがちゃんと描写される)が今回再現したいポイントだったので、良い感じにできたのではないかと思います。


よりイメージ通りの画風を目指すには、数十枚のデータセットからなる通常のLoRA学習とCoppyLoRAを組み合わせる手法があります。こちらの特集で掘り下げていますので、併せて御覧ください。工数は増えてしまいますが、ツリ目やたれ目、年齢指示ごとに適したタッチを覚えさせることで、より理想の画風に近いモデルを作ることができます。


6.さまざまな差分LoRAの作り方

もちろん画風LoRAだけでなく、アイデア次第でさまざまな差分を抽出することができます。


例えばこちらのペアは、適用すると情報量が落ちてラフでフラットなイラストになる「ラフスケッチLoRA」を作るために用意したもの。ポイントは、「ギャップ」を表現するために、これではちょっとラフすぎる…と感じるくらいのターゲット画像を用意することです。


強度1.0で適用すると、普段使いするにはかなりラフな画風になるLoRAができました。ただ、CoppyLoRAは副作用を避けるため、0.5~0.65前後で適用するものですから…


このように、強度0.5にするとほどよいラフ感になります。これなら、生成結果にほとんど悪影響を及ぼすことなく、狙ったラフスケッチ効果を得ることができるわけですね。


こちらがLoRA適用強度の比較図です。このように、強めのギャップで差分を学習させると、画風やタッチを段階調整できる「スライダー」のように使えて便利です。

「線を太くするLoRA」を作った場合、マイナス適用することで線を細くするLoRAとしても使えますし、胸を大きくするLoRA、髪を長くするLoRA、イラストの彩度を上げるLoRAなども同じです。「bold LoRA」が既にあるのでわざわざ自作する必要はありませんが、「一方向に大きくギャップを取る」ペアを用意することで、さまざまな調整LoRAを作れることを覚えておきましょう。


ちなみに、こちらのファンアートは、このラフスケッチLoRAを使って作ったものです。普段使っているモデルを自分の理想の表現に気軽にチューンナップできるのが、CoppyLoRAの素晴らしいところですね。



画風やサイズ調整系だけでなく、キャラクターの部位ごとに表現を変化させることもできます。例えば、適用すると目のハイライトを消すLoRAを作るには、このように目が大きく描かれた画像を1枚用意し、インペイントなどでその部分だけを変化させたペアを作ればOK。


この2枚の差分を取ると…


このように、適用すると目のハイライトを消すLoRAができました。(適用強度1)


目のハイライトを消すようなたぐいの差分を取る場合は、さきほどのラフスケッチLoRAのときのように「やりすぎる」(消しすぎる)ことができないので、基本的には強度1近くで使うことになります。ちなみにこちらのLoRAは、マイナス適用すると目のハイライトがさらに増すLoRAになっています。


もちろんNSFW用途のLoRAを作ることもできます。こちらの記事では乳首の描写をR-18っぽく改変する「ドスケベ乳首LoRA」や「ぶっかけ増量LoRA」を作りましたが、基本的に「差分」をベース画像で表現できる概念でさえあれば、その効果があるLoRAを作れるはずです。


こちらは先ほどの高身長LoRA。高身長にするには「tall female」というタグでもできますが、どうしてもグラマラスになってしまうので、できるだけそのままの体型で身長だけを高くするLoRAにしてみました。


まず上段の画像(普通体型)を生成したあと、頭の位置をCLIPSTUDIOで上にずらして、間の部分をCNインペイントで繋げることで、高身長のターゲット画像を入手しています。胸や太ももなど、身長以外の体型はできるだけそのままにするのがコツです。(高身長+グラマラスLoRAになってしまうのを避けるため)



適用するとこのように、身長が頭ひとつ高くなるLoRAになっています。


ミナちゃんに強度1で適用するとこんな感じ。ただ、本当は強度0.5でこれくらいの高身長にしたいところなので、もっと極端に、身長2mくらいに「やりすぎた」ターゲット画像で学習したほうがよかったかもしれません。



終わりに

というわけで、「コピー機LoRA法が理解る!CoppyLoRAwebUI完全ガイド」でした。CoppyLoRAについてはこれまで何度も記事にしてきており、知見も貯まってきたので、V3が出たタイミングで「理解る!」としてまとめることができてよかったです。


ローカルで画像生成をしていると、「このモデル、好きなんだけど理想とちょっとだけ違うんだよな…」と感じることがよくあります。SD1.5時代によく言われたのが、下図のような「逆光&鼻の上のハイライト」描写がどうしても消せない!というアレ。モデル自体にこうしたライティング描写が理想の描写として焼き付いてしまっているので、プロンプトをどう工夫しても高確率でこうなってしまうのですね。

CoppyLoRAを使えば、こうした「ちょっと違う」をピンポイントで気軽に直すことができます。さきほど瞳のハイライトを消したのと同じように、順光で鼻のハイライトのないイラストとの差分を取ればOK。あまりたくさんの種類のCoppyLoRAを同時適用すると破綻しやすくなってしまいますが、こうした細かなカスタムができるのがローカルの醍醐味ですね。


最後に、これまでの主なCoppyLoRA特集へのリンクを載せておきます。ADetailer専用の瞳LoRAを作ったり、モデルにCoppyLoRAをマージしてオリジナルモデルを作ったりと、さまざまな手法を検証してきました。


手描きをメインで活動されている方にとっても、たとえばラフの線画化や下塗りだけAIに任せたいときに、自分の普段の画風をCoppyLoRA化しておけばより精度の高いアシストをしてくれるようになるはずです。最近はNanoBananaProやQwenImageEdit2511などで難しい条件の生成もできるようになってきましたが、どうしても画風が変わってしまうのがネックでした。そうしたときもCoppyLoRAがあれば、image2imageやADetailerで画風を戻すことが簡単にできるようになるので、今後も第一線で活躍してくれそうな素晴らしい技術ですね。


それでは、今日はこのへんで。スタジオ真榊でした。









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